「このコロナ災禍の影響で、日本からの輸入は一時停止、店の売上もコロナ前と比べて7割も減りました。3月は営業自粛していましたが、4月よりオンラインショップや電話で対応をしています。終息の見通しがたたないので、まだ店を開けるのは難しいですね」――サンパウロ市リベルダーデ区のフォノマギ竹内書店の麻生譲治店長(63歳、福岡県)は落胆しながら、そう語った。同店は、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で大打撃を受けているという。
麻生さんは、今回の災禍を受けて輸入を一時停止している。本の入荷は2月発注分が4月に入荷して以降、止まっている状態だ。
「輸入を一時停止したのは、販売の目処が立たず売掛金の輸送費や仕入値が払えない事を避けるためです。今年初めに1レアル=4ドルだったのが6ドル近くまで上がりました。レートにつられて輸入費用も上がると商品の値段まで上げざるをえず、お客様も商品を購入しずらくなるので…。こんなに急にドルが上がった経験は初めてです」
麻生さんは1歳の時、家族と共に渡伯。ブラジルの大学を卒業した後、大阪外国語大学(現大阪大学)に半年間日本語留学、九州工業大学にも2年留学して機械工学を学んだ。
留学後は日本のソフトウェア会社に3年間勤務し、帰伯後ファクトリーオートメーション(工場機器自動システム・システム会社)会社に10年勤めた。その後、麻生さんの妻の家族が所有していた同店を後継者として引き継いだという。
近年、高齢化により一世の書籍購読者が減っている一方で、若者には参考書や漫画が人気だという。「最近は高齢化が原因で、日系人でも日本語を読める方が少なくなっています。なので、文庫本や文藝春秋などの購読者は年々減っていますね。一方で、若者には漫画や日本語能力検定試験の参考書が人気なんです。ネット購入者は半分以上が非日系人。ブラジルでも日本語のニーズはまだまだあると確信しています」と語った。
麻生さんは「日本で学ばせてもらった恩返しという意味も込めて、これからも本を通して日本文化を伝え続けたい。そのためには、このコロナ禍をなんとしても乗り越えて、店を存続させていかねばと思っています」と意気込み、「店は開けていませんが、サイトや電話での注文は受け付けています。在庫も1万冊程あるので、ぜひご連絡ください」と語った。
フォノマギ竹内書店は、平日9時~18時まで、電話もしくはワッツアップ、オンラインショップのみで対応している。連絡先は以下のいずれか。(電話=11・3104・3329、ワッツアップ11・96269・2091、オンラインショップhttps://www.fonomag.com.br/)
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フォノマギ竹内書店の歴史は40年以上になるという。元々は竹内商店として、LPオリジナルレコードの販売が始まりだ。時代と共にCDテープの販売に転換するも、コピー品が出回ることから現在の本の販売に至ったという。漫画、雑誌、参考書、専門書など置いてある本は多種多様。在庫も豊富にあるので、欲しいと思った本があるかもしれない。一度ホームページを覗いてみては?