7日、全国でボルソナロ大統領に抗議するデモが一斉に行われた。民主主義支持や人種差別反対なども同時にデモで訴え、一部で混乱なども生じたが、ボルソナロ大統領が示唆したような軍を派遣するほどのテロリスト的な行動は起こらず、むしろ、デモは勢いづいたといえそうだ。7日付現地サイトが報じている。
今回のデモは、一部左派勢力から「コロナウイルスの感染拡大を助長するのでは」との懸念の声が上がり、開催延期の呼びかけも行われた。だが、労働者党(PT)や社会主義自由党(PSOL)などが積極的に呼びかけ、全国的な広がりを見せた。
サンパウロ市のデモ会場は、5月31日の会場だったパウリスタ大通りから、西部のラルゴ・デ・バタタに移された。それは、7日にパウリスタ大通りで行われる予定の大統領支持派のデモとの衝突を避けるためだった。
7日の反大統領デモは、20近い州の州都や連邦直轄区で行われるほど規模が拡大し、大勢の人が駆けつけた。当日は午前中から、CNN局などがデモ現場からの中継を行ったが、並行して行われたボルソナロ大統領支持派のデモは、大統領が4日にデモを行わないよう呼びかけたことも手伝い、パウリスタ大通りで100人ほどの集まりに終わるなど、どこも小規模なものに終わった。
デモはおおむね平和的に行われ、予想された大統領支持派との衝突は見られなかった。だが、サンパウロ市のデモでは、開催から約2時間以上経った午後4時過ぎに、一部の集団が西部ピニェイロスで銀行の支店を襲い、ガラスを割るなどの行為に出たため、軍警がゴム弾や催涙ガス弾を使用する事態が生じた。
パラー州ベレンで行われた反大統領、反人種差別デモでは、「コロナ禍における、外出自粛の原則を破り、人ごみを作った」として、未成年者16人を含む112人が警察に身柄を拘束された。また、セアラー州フォルタレーザでは、デモ隊と軍が衝突し、7人が身柄を拘束され、うち1人が逮捕された。
だが、反大統領デモはどれも、ボルソナロ大統領が予告したような、米国で盛り上がりを見せる反ファシズム・デモと相乗効果になる形のテロリスト的なデモとは言い難いものだった。
今回のデモに関して、BBCブラジルは「ボルソナロ大統領やその支持者がデモの主役になることは、もうないだろう」と分析した。
ここ数年、ブラジルでのデモの主役はボルソナロ大統領の支持者で、コロナのパンデミックが起こった当初も、反隔離運動など大統領支持派が独占していた。だが、反大統領支持派「ソモス70%」の呼びかけで5月31日からはじまったデモには、「ジュントス」「バスタ!」などの別団体が合流。力を増している。
大統領自身も、これまでのようにデモの現場に出向くのを止め、大統領官邸前で支持者らに挨拶する程度に止めた。