「コロナに対する怖さは、戦時中の日本での生活に比べたら平気です。いつ爆弾が降るかわからないあの恐怖は、言葉で表せません。それでも、この自粛生活はストレスが溜まりますね」―大戦中を熊本県で過ごした帰伯二世、パラナ州ロンドリーナ市在住の汎熊本県人会元会長中川芳則さん(92)は、そう電話口で語った。外出自粛措置から早2カ月――。自粛生活の過ごし方、心がけについて、今回はパラナ州ロンドリーナ市在住者に電話取材をしてみた。
サンパウロ同様に外出自粛を余儀なくされており、中川さんは自宅での体操や、知人との電話を通してストレスを発散しているという。
「どうしても身体がなまるので、自宅で体操をしています。姉妹や県人会のメンバーから電話がかかって来るので、そこでお互いの近況を確認し、慰め合って昔話をします。こんな状況下ですが、誰かと話すだけでもかなりストレスが和らぎます。この生活を支えるため、買い出しなどをしてくれる息子とその嫁にも感謝しています」と語った。
ロンドリーナ文化体育協会(ACEL)名誉評議員議長の平間靖旺さん(やすお)(83、宮城県)にも尋ねると、今回の外出自粛期間を「普段できなかったことを実行する機会」として利用しているという。
「引退生活が長いので、自粛によるストレスはあまりありません。ですが、新型コロナの影響で毎月恒例のACEL高齢者の集いが3月からできないことが本当に残念です。今はこの期間を利用して、家の細かな物を整理整頓するのにもってこいだと考えています。もちろん、健康維持の為には運動は欠かせませんね」と語る。
平間さんは現在奥さんと愛犬と住んでおり、物の整理の他に、毎日屋内で朝夕30分ずつ体操、運動器具を使ったウォーキングやサイクリング、ゴルフの素振り、マッサージを行っている。
運動後のマッサージの重要性も語る。「筋肉が弱ると腰痛や膝痛の原因になるので、運動後のマッサージは欠かせません。体操とマッサージは家内と一緒に行っています」と語った。
一方、平間さんのゴルフ仲間の千葉康夫さん(74、東京都)は、普段使用しているジムや散歩コースが使用できなくなった。「日頃なら、アパート併設のジムが使用できるのですが、このコロナの影響で使用が禁止になりました。また、毎朝のウォーキングコースの湖もコロナにより利用禁止になりました。今では家で体操や軽い運動をしています」。
千葉さんは現在奥さんと自粛生活を行っている。娘夫婦と孫は千葉さん宅から100メートル程の距離に住むが、直接顔を合わせずに連絡をとるように工夫している。
「日本の級友や娘夫婦と電話やWhatsAppで近況を報告し合って日々過ごしています。家内とはトランプゲーム(PODEなど)をして時間を潰していますね。ブラジルのテレビはネガティブなニュースが多いので、NHKをみて気晴らししています。このコロナが去ってまた夫婦や仲間と共にパークゴルフができることを待ち望んでいます」と語った。
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ロンドリーナ文化体育協会(ACEL)の高齢者の集いは、毎月第3水曜日に開催され、高齢日系人の憩いの場となっている。参加者は毎回80~100人程になるか。コロナの影響で自粛中の現在、心待ちにしている人も多いので、この災禍が通り過ぎた後の会は、多いに盛り上がりそうだ。