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『ブラジル日系文学』64号発刊=芥川版「桃太郎」と解説も

『ブラジル日系文学』64号

『ブラジル日系文学』64号

 ブラジル日系文学会(櫻井セリア会長)が『ブラジル日系文学』第64号(発行者=近藤アンドレ、編集者=中田みちよ)が刊行された。
 同号は当初3月刊行、発送の予定だった。中田さんに電話取材したところ「編集部は高齢者が多く自宅待機が続き発刊・発送に遅れが出てしまっています」とコロナによる影響を乗り越えての発刊となったそう。
 本号では芥川龍之介によって再話された「桃太郎」を掲載している。共に掲載されている中田みちよさんによる解説では、芥川版の「桃太郎」現代にも響くメッセージ性と芥川龍之介のブラジルとの関わりも紹介されている。
 その他は第3回となる「世界の日本人」では著者の大門千夏さんがカナダ旅行の際に出会った3人の日本人旅行者との交流を綴る「ケベックの婦人」や、随筆、小塩卓哉さん「日系人のうた」ではサンパウロ市在住の高橋暎子さんの歌集「とつくに茫々」を紹介する。
 日本語版は118項でポルトガル語版は84項となっている。
 本は日系の書店に置く予定とのこのと。問合せは、同事務所(電話=11・3203・2018、メール=secretaria@nikkeybungaku.org.br)まで。

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     ◎
 中田みちよさんによる芥川龍之介版「桃太郎」の解説には、芥川龍之介と義理のいとこでもあった山本喜誉司との関係について触れられている。山本が芥川をブラジルに呼び寄せたがっていたという。ブラジルの地に立つ芥川龍之介はたしかに想像するのが難しいが、もし来ていたらどんな作品を書いていただろうかと興味深い。