パウロ・ゲデス経済相は9日、コロナウイルス蔓延中の低所得者救済策としての緊急援助金支払いをあと2回行うと発表し、さらに、若者雇用プログラムの「カルテイラ・ヴェルデ・アマレロ(CVA)」復活と、コロナ後にボウサ・ファミリアを含めた形のより大規模な基礎所得制「レンダ・ブラジル」(低所得者向けベーシックインカム制度)を創設する方針だと宣言した。9日付現地サイトが報じている。
ゲデス経済相によると、新たな緊急援助金は「現行の緊急援助金の延長」を意図したもので、支払回数は2回、各回の支給額は300レアルとなる。4月にはじまった緊急援助金の支給は1回に付き600レアルで、3回支払われているが、今回のは2回合計600レアルとなる。開始日時などの詳細は、今回の閣議では発表されなかった。
また同経済相は、若者雇用プログラム「CVA」を復活させる意向も表明した。このプロジェクトはボルソナロ大統領が選挙キャンペーンの際から掲げていたもので、連邦議会が暫定令を承認しなかったために4月に失効していた。
「現在のブラジルには、非正規雇用者が4千万人いる。コロナ禍で緊急援助金を受け取るために登録したデータをデジタル化し、彼らに雇用の機会を提供したい。これまではデータに上って来なかった若者に雇用の機会を与えるためのプログラムを、近日中に立ち上げたい」とゲデス氏は語っている。このCVAは正規雇用促進プログラムだが、労働法規を一時的に柔軟化させる側面があるので、労働者の権利を損なうとの懸念も上がっている。
さらにゲデス氏は、労働者党(PT)が始めた貧困層向け社会保障政策「ボウサ・ファミリア」を、さらに大規模にした政策「レンダ・ブラジル」を準備中であることも明らかにした。これには、従来のボウサ・ファミリア受給者に加えて、非正規労働者も受給対象にする予定。ここで、コロナウイルスの緊急援助金受給者として登録された人のデータを有効利用する意向を見せている。