法定アマゾンでの森林伐採増加で、南米共同市場(メルコスル)と欧州共同体(EU)との貿易協定の締結が難しくなっていると、10日付ブラジル国内サイトが報じている。
メルコスルとEUは今月末にも貿易協定を結ぶ方向で話が進んでいる。EUとの貿易協定締結はメルコスルにとっては20年越しの目標で、是が非でも締結させたい優先課題と目されている。これが締結されれば、輸出入に関する関税が大幅に安くなるのみならず、伯国にとっても、数10億レアル規模の国内総生産(GDP)成長や、投資増大が見込まれている。
だが、在ブラジル・ドイツ大使のゲオルグ・ヴィッチェル氏は、「アマゾンでの森林伐採増加で締結が難しくなっている」とG1サイトに語っている。
国立宇宙研究所(Inpe)が9日に発表したところによると、2018年8月から2019年7月までの法定アマゾンでの森林伐採面積は1万1千平米キロに上った。伐採面積は前年同期比で34・4%増えており、2008年以降、最大の増加幅を記録した。
「ドイツとしては協定には前向きに考えたいと思っている。だが、法定アマゾンでの森林伐採増加との情報が欧州諸国の議会に届くたびに、難色が示される事態が起き、その度合いが強まっている」とヴィッチェル氏は語っている。
ドイツは7月からEUの議長国となるため、域内で最も重要なカギを握る存在となるが、メルコスルとEUの協定が認められるためには、全てのEU加盟国の議会で承認されなければならない。
だが、昨年8月に法定アマゾンでの森林火災増加が表面化した際、フランスのマクロン大統領がボルソナロ大統領を痛烈に批判したことで両者の関係が悪化。先週はオランダの下院も、アマゾンの森林伐採を理由に、この協定を承認することに強い懸念を示した。
「両経済域間の協定締結に向けた加盟国の同意を得るには、ブラジルが森林伐採を減らすという形で支援することが是が非でも必要だ」とヴィッチェル大使は語った。だが、ボルソナロ大統領は常日頃から、「アマゾンをどうしようがブラジルの勝手」「欧州はアマゾンの利権に興味がある」などと語っており、歩み寄る姿勢は見せていない。