全国財・サービス・観光商業協会(CNC)が11日、世界保健機関(WHO)が出した新型コロナウイルスによるパンデミック宣言以降、ブラジルの観光業界が被った損失は、3~5月だけで877億9千万レアルに達したと発表した。
観光業界は、新型コロナウイルスの感染拡大で国境が閉鎖された事や、航空便の運航停止、感染拡大抑制のための社会隔離などによって、3月以降、ほとんど完全に停止した状態に陥っている。
平年の業績と比較して算出した損失額は、3月133億8千万レアル、4月369億4千レアル、5月374億7千レアルで、半分以上が、4~5月には航空便の運航本数が90%以上削減された、サンパウロ州とリオ州に集中している。
コロナ蔓延による影響は雇用面でも顕著で、6月末目での雇用減は72万7800人に上ると見られている。観光業界の雇用の57%を占める宿泊・外食関連部門では、3~5月の正規雇用者数純減が35万人に及ぶと見ている。労務省の全就労・失業者台帳(Caged)によると、同業界の正規雇用者総数は3~4月だけで21万1700人減少している。
CNCによると、観光業は他の業種の経済活動とも密接に関係しているため、他の国々の検疫隔離(クアレンテーナ)緩和は、ブラジル国内の観光業の業績回復には直結しないという。
ホテル業界では、遠隔勤務を行う人向けの業務スペースや会議会場を提供したり、自宅での感染拡大を怖れる人のための宿泊施設として利用してもらうなどして、営業を継続する工夫を続けているが、CNCでは、コロナ蔓延下でも業界が生き残り、感染終息後も活動を続けられるためには、連邦政府による救済措置が不可欠だと訴えている。(11日付アジェンシア・ブラジルより)