【既報関連】国立宇宙研究所(Inpe)が12日に発表した伐採監視システム(Deter)のデータによると、5月の法定アマゾンの森林伐採面積は828・97平方キロで、5月の月間新記録だったと同日付現地サイトが報じた。
ブラジルの法定アマゾン森林伐採の増減は、南米南部共同市場(メルコスル)と欧州連合(EU)との間の貿易協定締結の可否を左右する要因となっているので、現政権下の森林伐採増加は、両経済域レベルの大きな懸念材料になっている。
現政権は、森林伐採や森林火災を防ぐために軍や治安部隊を派遣して抑制すると公言している。だが実際には、ボルソナロ大統領が先住民保護区の鉱物資源採掘を認める発言をするなど、森林伐採を後押しするような材料が目立つ。
Deterによるデータは不法伐採などの監視用で毎月公表される。他方、森林伐採に関する公式統計は、Prodesという衛星で得たデータを使い、前年8月~当該年7月で算出される。
公式統計算出まで2カ月の時点での森林伐採が、昨年同月比で12%増えた事は憂慮すべき事といえる。Deterのデータによると、19年8月から今年5月までの累積伐採面積は6498・8平方キロで、昨年同期の3653・42平方キロより78%増えている。
専門家は、このままのペースでいけば、7月までの1年間の森林伐採面積は1万2千平方キロに達し、1万129平方キロだった前年度を上回る事は必至と見ている。
法定アマゾンの森林伐採の99%は違法なもので、監視強化が求められている。だが、現政権では逆に懲罰を控えるなどの動きも見られる。今後出てくる数字によっては、国際社会からの批判がますます高まりそうだ。