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日本移民の日=第112回先没者法要式しめやかに=コロナ禍犠牲者も共に弔う=初のオンライン動画形式で

法要の様子

法要の様子

 6月18日午前10時から、ブラジル日本移民112周年を記念した追悼仏式法要の動画が公開された。ブラジル日本文化福祉協会とブラジル日本都道府県人会連合会、ブラジル仏教連合会が主催。第1回契約移民を乗せた笠戸丸がサントス港に到着した1908年6月18日を記念して毎年開催されているが、コロナ禍で集まれないために初めてオンライン法要になった。あわせてコロナ感染症により亡くなった多くの人々への哀悼の意も捧げられた。


 「先人から受け継ぐべき大切なことは、土地や財産だけではなく、賜った命を感謝の心を持って生きる姿勢を受け継ぐのです」――法話では塚本智光仏連会長がそう語りかけた。開拓の苦難の中で生きた多くの先人を称えるとともに、現在や未来を担う日系人達に命の尊さを力強く説き、厳かな空気のなかで締めくくられた。
 コロナ禍のため、イビラプエラ公園の日本移民開拓先亡者記念碑前と文協大講堂内ではなく、ユーチューブ上で動画公開という形となった。

石川レナト日本文化福祉協会会長

石川レナト日本文化福祉協会会長

 文協の石川レナト会長は「受け継がれた日系社会の精神を普及する」という使命感を語るとともに、「この感染症に打ち勝つためにも、継承された精神である協力・援護・連帯・共感を高め、行動していくこと」の重要性を力強く訴えた。
 県連の市川利雄会長は「日系人の原点としての遺産とその価値へ感謝」を述べると共に、法要を執り行えた事への感謝と喜びの言葉を添えた。
 野口泰在聖総領事は「ブラジルと日本の長い友好関係のなかで日系人が友好の懸け橋として大きな役割を担われた」と延べ、佐藤洋史JICAブラジル事務所長は「外国において、これほど日本人が感謝されるのはブラジルしかない」とそれぞれの視点により日伯の友好関係が称賛された。

市川利雄ブラジル日本都道府県人会連合会会長

市川利雄ブラジル日本都道府県人会連合会会長

 両親が沖縄から移住しているサンパウロ日伯援護協会の与儀上原昭雄会長は、まず先人の功績へ感謝と敬意を示し、現在コロナ禍の最前線で治療に当たる医療関係者や入居する高齢者に対し多くの注意を払い予防対策を行う介護従事者へ感謝の意をあらためて述べた。
 動画内には追悼歌「心静かに」が当時の様子を伺い取れる貴重な写真のスライドと共に演奏され、しめやかなメロディーと共に歴史の一幕が振り返られた。
 動画は文協の法要式案内ページか文協のユーチューブチャンネルで視聴できる
【文協サイト特設ページ】https://www.bunkyo.org.br/2020/06/01/112-anos-da-imigracao-japonesa-2020/
【文協ユーチューブ】https://youtu.be/ne3bzGX0vkI


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     ◎
 初めてのオンライン移民の日仏式法要動画は、日本語とポルトガル語の字幕が用意されており、どちらかの言葉しかわからなくても見ることが出来る。コロナ禍で不安定な今こそ、追悼歌「心静かに」の歌詞にあるように、様々な苦労や病と戦いつつ今日を作った先駆者たちに馳せ、この動画を明日への心の糧にしてはどうだろうか。