18日、ボルソナロ大統領一家の長年の友人のファブリシオ・ケイロス容疑者が、同氏をかくまっていたとされるボルソナロ一家の弁護士フレデリック・ワセフ氏と共に、フラヴィオ・ボルソナロ上議と親交があるとされていたリオ市のミリシア(犯罪者の民兵組織またはその構成員)に、担当弁護士をつけるなどして助けていた疑惑が浮上している。潜伏しながらも、ボルソナロ家のために様々な便宜を図っていた可能性が噂されており、マスコミでは「ボルソナロ家の内実をよく知るケイロスがデラソン・プレミアーダ(報奨付供述、司法取引)をすれば、一気に実情が明らかになる」と18日から持ちっきりで報じている。
19日付フォーリャ紙によると、昨年の11~12月に、逃走中だったリオ市の大物ミリシア、アドリアーノ・ノブレガ氏に弁護士をつけるのを助けていた疑いが、ケイロス容疑者とワセフ氏には生じている。
同紙によると、アドリアーノ氏と同氏の担当弁護士となったルイス・ボット・マイア氏は、19年12月3日にミナス・ジェライス州アストウフォ・ドゥットラで会合を行った。会合には、ケイロス容疑者の妻で18日にリオ地裁から逮捕命令が出たマルシア・アギアル容疑者、アドリアーノ氏の母のライムンダ氏、アドリアーノ氏の妻のジュリア・ルトゥフォ氏も立ち会った。
マルシア容疑者はケイロス容疑者の指示を受け、会合前の11月17日と12月1日にライムンダ氏と個人的に会っている。12月1日はライムンダ氏が住むアストウフォ・ドゥットラで会っており、マルシア容疑者はボット・マイア氏と会うまでの3日間をライムンダ氏の家で過ごした。
これらの情報は、昨年12月に押収されたマルシア容疑者の携帯電話のメッセージで明らかになった。アドリアーノ氏一家はケイロス氏一家同様、フラヴィオ上議のリオ州議時代の幽霊職員で、親しい間柄だった。
ボット・マイア氏は12月2日にサンパウロ州アチバイアでワセフ氏と面会した後、ミナス州に移動し、アドリアーノ氏と会っている。ケイロス氏は当時、ワセフ氏が所有するアチバイアの農園の持ち家に潜伏しており、ボット・マイア氏とも会っている。ボット・マイア氏は18年にフラヴィオ氏の上議選キャンペーンを手伝っており、現在は同上議の担当弁護士だ。
アドリアーノ氏は今年の2月9日、逃走先のバイア州の農園でバイア州警察特別部隊とリオ市警の合同捜査班に追い詰められ、不可解な銃殺死を遂げている。リオ州検察局はアドリアーノ氏がケイロス氏一家の逃亡を助けていたと見ている。
マルシア・アギアル容疑者は現在、逃亡中だ。リオ州検察局によると、同容疑者は、18年末から19年にかけてケイロス氏が癌治療でサンパウロ市アルベルト・アインシュタイン病院に入院した際、支払い前に出所不明の現金17万4千レアルを受け取っている。
疑惑はフラヴィオ氏にも及び始めた。リオ州検察局はフラヴィオ氏の家族の保健プランや学校の月謝の支払い票など116件、計26万1千レアルが全て現金で払われていたことや、少なくとも一部がケイロス氏によって払われていたことに疑問を抱いている。リオ地裁は、同氏の12年間分の旅行経費に関する調査も命じている。
コロナ対策が国民の不評をかって支持率を下げているだけでなく、政治的にも行き詰まり状況にあり、そこへFN捜査による身内や資金提供者への一斉逮捕、熱狂的支持者のネオナチ集団リーダー逮捕などが重なり、ボルソナロ大統領は多方面からどんどん追い詰められている状況だ。