アブラアン・ウェイントラウビ教育相が18日夜、ボルソナロ大統領によって解任された。ボルソナロ政権では、保健相、文化特別局長に続く3人目の大臣代行となる。国民にとっては生活に関わる最も重要な3大役職だが、みな「代行」になった。18、19日付現地紙が報じている。
同氏解任の発表は、大統領のビデオ動画で二人並んで行われた。動画の中で大統領は、在任中の同氏の働きを、「我々と共によく戦ってくれた」と褒め称えた。ただ、その一方で、ウェイントラウビ氏からは「今度こそは本当だ」と、かねてから解任を噂されてきた自身の境遇を自虐的に語る言葉も漏れていた。
同氏は昨年4月、前任者のリカルド・ヴェレス・ロドリゲス氏の後任として、大統領の指名で就任した。教育関係の経歴がまるでなく、異例の就任が話題を呼んでいた。
就任以来、数々の舌禍事件を起こしてメディアを賑わせてきた。例えば、ブラジルで最も尊敬されている教育者、哲学者の一人であるパウロ・フレイレ氏への批判にはじまり、フランスのマクロン大統領や中国を批判して、外交問題まで招いていた。
最近では、4月22日の閣議で発言した「ヴァガブンド(怠け者、無能者)は皆、刑務所に入れるべき。まず最高裁判事たちだ」の言葉が大問題になった。
また、14日にブラジリアで行われた反民主主義的なデモには、連邦直轄区が義務化したマスクも着けずに参加。汚職公務員のために税金が使われている事に関して訊かれた時も、「ヴァガブンドに対する私の考えはもう話した」との表現で最高裁判事や連邦議員を批判するなど、教育相という立場にそぐわぬ言動を繰り返した。
今回の解任は、閣議での発言とデモ参加が大きな理由となっている。同氏は最高裁審理でも人身保護令適用を拒否され、フェイクニュース捜査の対象になることが確実になっている。
教育相の後任は当面、教育省ナンバー2のアントニオ・パウロ・ヴォージェル氏が代行。後任には当初、ウェイントラウビ氏同様、極右思想家オラーヴォ・デ・カルヴァーリョ氏の派閥のカルロス・ナダリム氏が有力視されていたが、連邦政府内で反対が強いこととナダリム氏自身の固辞で流れた。
ウェイントラウビ氏の今後は世界銀行の役職が用意されているが、この職につくためには世界8カ国の承認が必要で任期も10月までだという。