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《ブラジル》サンパウロ市コロナ感染者に120万人説=次のピーク予告が出る州も

サンパウロ州政府が実施中の集団検査で採取された高齢者の検体(Governo do Estado de São Paulo)

 【既報関連】ブラジルでは新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で隔離緩和が起きているが、世界保健機関(WHO)が22日、改めて、ブラジルでの検査不足への懸念を表明。それを裏付けるかのように、サンパウロ市の感染者は120万人との声が出ていると22、23日付現地紙、サイトが報じた。23日夜の保健省発表では、死者数654人(計5万1271人)、感染者数2万1432人(計110万6470人)だった。
 だが、登録システムのトラブルで登録不能だった感染者が追加登録されたのを受け、19日に感染者が5万4771人増えた事は、その直前に発表された「ブラジルの感染拡大は小康状態に入ったようだ」とのWHOの見解や信頼を覆した。
 それもあってか、WHOは改めて、ブラジルでは検査不足との見解を表明。集団検査を実施した国々の陽性率は5%未満だったのに、ブラジルでは31%が陽性との結果が出ているためだ。ブラジルでは、ウイルスの有無を調べるPCR検査を重症者中心に行い、医療従事者や治安従事者には抗体検査も含む数種類の検査を行うという方法で、110万人感染との結果を得ている。この方法では、無症状の感染者や軽症で自宅隔離を行った感染者の実態把握は不十分といえる。
 保健省が公式発表する数字が実態を示していない事は、各種の調査でも言われている。23日にはサンパウロ市市役所が、今月10日に始めた調査の結果、公式の感染者数は12万人だが、実際の感染者(抗体保持者)は120万人に及ぶ可能性があると発表。同調査は96区に住む18歳以上の市民5416人を無作為抽出して行った抗体検査によるもので、市役所は15日毎に、同様の調査を行う意向だ。

 なお、22日のサンパウロ州保健局発表によると、サンパウロ市の感染者数は初めて内陸部の総数を下回った。サンパウロ市では臨時病院閉鎖を検討する動きも出ている。
 ミナス州も検査不足が深刻で、呼吸器疾患による死者が多く、集中治療室占有率も上昇中だ。22日現在の感染者数は2万8918人で100万人あたりの感染者は1366人、死者数も688人で死亡率は33人/100万人。だが、同州での検査数は10万人あたり155件で、最も検査率が高いアマパー州の4433件/10万人の約30分の1だから、実態が把握出来ているとは言い難い。同州に次いで検査率が低いのはリオ州の318件/10万人で、ミナス州はその半分以下だ。
 アマゾナス州は検査率は3344件/10万人で全国2位、一時は医療崩壊が起きていたが、現在では他州の患者を受け入れるゆとりも出てきた。ところが、段階的隔離緩和により、7~8月にマナウス市で新たなピークが起きる可能性があるとの警告が出た。アマゾナス連邦大学によると、新たなピークが起きれば、マナウス市だけで20万人が感染、3千人が死亡する可能性があるという。
 リオ・グランデ・ド・スル州では隔離緩和後の感染拡大で、ショッピングセンターなどを再閉鎖。ピアウイ州も22日、実態調査で推定される感染者数倍増を理由に、隔離緩和を先延ばしすると発表した。