「ノロエステ連合も新型コロナの影響で各イベントが中止となっています。この生活が続くと文協の維持も厳しくなる一方ですね」―ノロエステ連合日伯文化協会会長の安永信一さん(三世・72歳)は、そう電話口で語った。外出自粛措置から早3カ月――。自粛生活の過ごし方や心がけについて、今回はサンパウロ州ノロエステ地方在住者に電話取材をしてみた。
ノロエステ地方も自粛生活を余儀なくされており、毎年恒例の主催イベントも中止になっている。「コロナで毎年恒例の運動会や盆踊り、焼きそば会などが中止になりました。各文協が主催する陸上部やカラオケ・ゲートボール・太鼓・野球などの部会イベントも、しばらく中止です。文協としてイベント収益が入らないので文協維持が大変です」と述べた。
高齢者については、「ノロエステはご老人が多いので本当に心配です。ましてや自粛生活で外出禁止。イベント中止により高齢者の憩いの場もないので、ストレスが溜まる一方でしょう」と不安げに語った。
安永さん個人としては、自粛生活を今までできなかったことを整理する時間に使っている。
「今まで忙しくてできなかった用事を片付けたり整理しています。自粛生活で皆さん大変だと思いますが、この期間を利用して中々できなかった整理等してみるのはどうでしょう。ユーチューブなどで歌手やテレビの映像等をみて気晴らしすることも大切ですよ」と自粛期間の生活を語った。
同連合前会長の白石一資さん(しらいしかぞし、二世・85歳)にも自粛生活の心がけを聞くと、こう語った。
「コロナ災禍で政治家がいがみ合ったりしているが、こういう時こそお互い理解し団結しなければなりません。この災禍も人間への戒めと噛み締めて生活しています」と述べ、また日常の些細なことにありがたみを感じる思考方法を勧めた。
「日頃から食事が出来ることも、元気に体を動かすことができるのも神様あってのこと。日頃当たり前に慣れて気が付かないでしょうが、今一度感謝してこの自粛生活を乗り越えましょう」
アリアンサのユバ農場在住の弓場的さん(ゆばひよう、二世・60歳)は現況をこう語った。
「週2回、街のスーパーに果物を出荷しているのですが、コロナの影響で3月から注文が4割減りました。日頃は日本人旅行者などを受け入れ、農作業を手伝ってもらうかわりに、食事や宿泊を提供していますが、今はコロナを懸念して一切外部から受け入れしていません。もちろん弓場農場から外にでるのも必要最低限にしています」とのこと。
コロナへの懸念として、「現状ユバにはコロナは入っていません。果物の出荷から帰ってきたときは、必ず手や服等をアルコールで殺菌しています。出荷量が減ることも問題ですが、それより怖いのはユバ内にコロナが入ることです。もし入ったら卸先から出荷を断られ収入が無くなりますので…。何としてもコロナを農場にいれてはいけないと思いながら皆頑張ってますよ」
そしてストレスについては「自粛と言っても農場内で魚釣りもでき、家に籠もりきりではないので、私の世代はまだストレスは少ないです。ただ、農場内の血気盛んな若者は、よく土曜の晩に街に遊びにいったりしていたので、そういう気晴らしができないのは気の毒ですね…」と語り、「どこも大変ですが、身の回りでできることでストレス発散するよう工夫が大切ですね。私は特に料理を作るのが好きなので、趣味の料理でストレスを和らげています」と語った。
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ノロエステ連合が主催する盆踊り大会は、今年で58回目になるという。毎回参加者は3~4千人にのぼり、ノロエステ中から大勢集まる大イベントだ。例年8月末だが、今年はどうなるか。もしもコロナ災禍が終息していれば、祝いも兼ねて例年よりも盛大に行われるかも?