【既報関連】24日夜の保健省発表による死者数1185人(計5万3830人)、感染者は4万2725人(計118万8631人)だった。新型コロナウイルスの感染が再燃中の地域もあり、1日の感染者や死者の増加数がなかなか減少しないブラジルだが、そんな中でも予防接種ワクチンの治験や生産に関する話は進んでいると23、24日付現地紙、サイトが報じた。
軽症者や無症状者への検査増加もあり、100万人あたりの感染者数(発生率)は5453人に高まり、死者数を感染者数で割った致死率は4・6%に下がった。回復者は53・5%にあたる61万3345人に増えた。
ブラジルは感染者、死者共に世界2位で、1日あたりの感染者のグラフは減少傾向を示すには至っていない。中南米は現在の流行の中心地だが、ブラジル以外は、ペルーが感染者数で世界6位(26万810人、発生率8117人)、チリが7位(25万767人、発生率1万3124人)、メキシコが12位(19万1410人、発生率1512人)などとなっている。感染者数はブラジルがダントツで、死者数も域内の半分以上を占めているが、発生率1位は、このところ感染急増中のチリだ。
ブラジルでも感染者数と死者数が最多のサンパウロ州は23日、感染者数が7502人増の22万9475人、死者数が434人増の1万3068人となった。1日の死者数は再び記録を更新したが、サンパウロ州保健局は、「内陸部で死者が増えているが、集中治療室不足が引き起こした死者増ではない」「サンパウロ市やサンパウロ大都市圏での死者は減少中」と説明した。
ブラジルは検査の絶対数が不足し、感染実態が把握できていないと批判されている件については、保健省が23日、総人口の23%にあたる5千万人に対し、ウイルスの有無を調べるPCR検査と抗体の有無を調べる簡易検査を行う意向を表明した(実施時期は未定)。また、従来は検査で確認された場合だけを感染者としていたが、医師の診察のみで感染を認める意向も明らかにした。
他方、社会隔離の緩和で、感染再燃が起きている自治体も増えている。一例はパラナ州クリチバで、感染者が1千人を超えるまでは2カ月半を要したが、5月28日からの1カ月足らずでの感染者は3倍以上増え、23日現在は3298人に達した。同市の死者は116人で、来週は都市封鎖も含む外出規制が採用される見込みだ。
サンタカタリーナ州フロリアノポリスも感染者や死者が増え、医療崩壊回避のために、ショッピングセンターやスポーツジムを2週間閉鎖。海岸への滞留や釣り、水中スポーツも禁じられた。
新型コロナの感染拡大を抑制する最良の手段は予防接種ワクチンの開発だが、安全性や有効性が立証され、生産許可が出たワクチンはまだない。
サンパウロ州では20日から、英国オックスフォード大学が開発中のワクチンを使い、医療従事者を対象とする治療検査(治験)が始まった。保健省は近日中に、同大が開発中のワクチンの生産に関する覚書への署名も行う意向だ。また、サンパウロ州では、中国の製薬会社が開発中のワクチンの治験も行われる事になっている。