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《ブラジル》緊急援助金の延長金額で迷走=平行線たどる大統領と議会

緊急援助金引き出しのために列をなす人々(Antonio Cruz/Agência Brasil)

 新型コロナウイルス対策での緊急援助金の支払い延長に関して、連邦政府の当初の予定を変更する代案が浮上していると、23日付現地サイトが報じている。
 連邦政府の経済チームは、延長分の緊急援助金を当初、「300レアルを2回」の合計600レアルで提案していた。その後は、この緊急援助金支払いのために登録された情報を基に、ボウサ・ファミリアなどの社会福祉政策を統合した低所得者向け基礎所得政策「レンダ・ブラジル」を導入するとともに、若者向けの雇用促進プログラム「ヴェルデ・アマレロ」を実施して雇用と所得を確保を考えていた。
 だが、連邦議会からは「従来どおり、600レアルずつを2~3回」案の続行希望が根強く、話が進まなかった。連邦政府が緊急援助金の支払い延長などのコロナ対策を実行するには連邦議会での承認が必要となる。
 だが、コロナウイルスによる感染者、死者が世界2位となった上に感染終息の見通しが立たないこと、ボルソナロ大統領一家の親友ファブリシオ・ケイロス氏が逮捕されて大統領の立場が危ういことに加え、緊急援助金が好評だったことでボルソナロ政権では強い支持層とはいえなった貧困層からの支持が上がったことから、連邦政府内からもプランの見直しを求める声が出はじめていた。
 だが、ボルソナロ大統領には「これまでと同じ600レアルずつは支払えない」との考えが強く、「議員給を減らすなら、600レアルの支払いを認める」と言い始めた。連邦議会は、議員給を減らすことは議会が最初に言い出したことだが、その場合は、行政府と司法府もそれに準じた削減をすることが条件と主張し、平行線をたどっていた。

 そこで、連邦政府内から新たな案があがってきているという。それは「7月に500レアル、8月に400レアル、9月に300レアル」の計1200レアルというものだ。同案に関してはまだ、連邦議会への提案などは行われていない。
 4月からの第一次緊急援助金は、3回目の分の支払いが遅れているが、ボウサ・ファミリア受給者への支払いは17日にはじまった。ボウサ受給者への支払い日は社会保障識別番号(NIS)の末尾番号で決められており、30日までに全ての番号分が支払われる。それ以外の対象者への支払い(連邦貯蓄銀行の口座への振り込み)は、払い出し日程そのものの決定が遅れており、今少し、支払いが遅れそうだ。