ファブリシオ・ケイロス容疑者を1年以上にわたってかくまっていたことが問題視されている、ボルソナロ大統領一家の元弁護士フレデリック・ワセフ氏が、これまでの「会ったことない」から一転して、「ケイロス氏が暗殺されそうだとの情報を得たからかくまった」と発言して物議を醸している。26日付現地サイトなどが報じている。
ワセフ氏の発言は、26日付で発売された雑誌『ヴェージャ』での同氏へのインタビューで明らかになった。彼は、ボルソナロ大統領とフラヴィオ上議の弁護士を務めていたが、21日に辞任した。
ワセフ氏はケイロス容疑者が18日に逮捕されて以来、聖州アチバイアの農園に所有している持ち家にケイロス氏が潜伏していたことを「知らなかった」と言い続けていた。だが、ヴェージャ誌からの取材では、「ケイロス氏に対する暗殺計画が浮上していると耳にしたのでかくまった」と発言した。
暗殺計画に関する証拠を提示していないが、ワセフ氏は「リオにいてはケイロス氏は殺されてしまう」と判断したため、サンパウロ州に移させたという。さらに、その暗殺を計画した人物は、「フラヴィオ・ボルソナロ氏のラシャジーニャ疑惑に関して、口封じをするためだろう」と語って、ボルソナロ一家に濡れ衣を着せるつもりだったに違いないとも語った。
ワセフ氏は、ボルソナロ大統領はケイロス容疑者との関係を絶ち、フラヴィオ氏も完全に距離を置こうとしていたから、「ケイロス氏をかくまっていたことは大統領一家には隠していた」と一家を庇うかのような発言をし、「ケイロス氏とのコンタクトも最小限に止めた」と語った。また、今回のケイロス容疑者逮捕を、「ウィルソン・ヴィッツェル・リオ州知事とジョアン・ドリア聖州知事による、ボルソナロ大統領への報復行為に違いない」との元大統領弁護士らしい独自の見方を披露した。
一方、25日、リオ州地裁はフラヴィオ上議に対して、裁判特権(フォロ)を判事投票2対1で認めた。これでフラヴィオ氏の裁判は第2審からということになる。同氏は以前、「上議なので高等裁からの扱いにして欲しい」との訴えを出していたが、フォロの扱いに関する規定は「事件が起きた時の役職に準じる」と変更されていたため、昨年、最高裁に却下された。だが、今回は、「リオ州議時代の事件」を主張し、2審からの裁判を勝ち取った。
フラヴィオ氏の弁護側は、ケイロス容疑者夫妻の逮捕命令を無効にし、事件自体をお蔵入りさせることを狙っている。だが、こちらはリオ地裁がケイロス氏の釈放を拒否しているため、実現する可能性は低そうだ。
また、26日、ダッタフォーリャの最新の世論調査が発表され、ボルソナロ政権の支持率が、ケイロス氏の逮捕後も1%ポイント下がっただけの32%であることが明らかとなった。ただし、不支持率は43%から44%へと微増した。
だが、「大統領はケイロス氏の潜伏先を知っていたと思うか」の問いには、64%の国民が「そう思う」と答え、「そう思わない」は21%しかいなかった。