北東部の灌漑の大プロジェクトであるサンフランシスコ川疎水工事の北部支流の開通式が、セアラー州で26日にボルソナロ大統領の立ち会いの下で行われた。これはルーラ政権(PT)の時にはじまった看板構想で、PT所属の同州知事らは参加しなかった。27日付現地紙が報じている。
サンフランシスコ川はブラジルの民話や民謡の題材に頻繁に登場するなど、北東部の文化の象徴ともなっている河川だ。ルーラ政権の2005年に始まった疎水工事は、貧困な小農が多い北東部の乾燥地帯セルトンを潤して大農地に変える一大灌漑事業のインフラ。同河川から人工の支流を2方向に延ばし、ペルナンブッコ州、北大河州、パライバ州、セアラー州に水をもたらすという壮大な計画だ。
東部と北部に計477キロに及ぶ二つの支流を造るという大工事は、予定を大幅に上回る年数がかかった上、工費も、2005年当時に見込んでいた45億レアルの3倍近い、120億レアルという莫大なものとなった。この工事によって、東部で168市450万人、北部で223市710万人が恩恵を受けると見込まれていた。
パライバ州やペルナンブコ州、リオ・グランデ・デ・ノルテ州に流れる東部支流は、テメル政権の2017年3月に開通。あとは、北部支流の開通が残されるのみとなっていた。
今回の開通式は、サンフランシスコ川北部支流の水門を開き、ペルナンブコ州のミラグレス貯水場を満たしていた水がセアラー州のジャチ貯水場まで届いたことを記念して行われた。ボルソナロ大統領は、水が流れついた時、両手をあげた歓喜のポーズをとったが、記者会見や演説は行わなかった。ジャチ貯水場についた水は今後、パライバ州西部や北大河州を潤すようになる。
セアラー州のカミーロ・サンターナ知事(PT)やペルナンブッコ州のパウロ・カマラ知事(ブラジル社会党・PSB)らはこの式に参加しなかった。サンターナ知事は、「この灌漑工事はルーラ政権時代に、ルーラ氏や(当時の全国統括相の)シロ・ゴメス氏らの尽力でできたもの。ジウマ、テメル政権を経て、ボルソナロ政権で実現したものだ」とSNSで声明を出した。
ボルソナロ政権は、「完成のために13億レアルを投じた」と発表しているが、同政権になる前に、既に97%完成していたといわれている。