6月25日にボルソナロ大統領から次期教育相の指名を受けたばかりのカルロス・アルベルト・デコテッリ氏が、相次ぐ経歴詐称の発覚により、6月30日に辞表を提出。指名からわずか5日間、正式な就任式をする前だった。これで教育相選びが振り出しに戻った。1日付現地紙が報じている。
デコテッリ氏は指名当初は「立派な学歴を持つインテリ派」と紹介されていたが、直後から事実でないことを指摘する声が方々からあがっていた。
まずは、博士号を取ったとされたアルゼンチンのロザリオ大学とドイツのブッペルタール大学から否定され、前者の場合は学長から直々に「最終の論文が認められておらず盗作の疑いもあった」と指摘された。
これに対しデコテッリ氏は「盗作はしていない」と否定しながらも、ネット上のプロフィールで博士号に関しての記述を削除するなどして疑惑を深めた。
この時点では、ボルソナロ大統領も同氏就任を進めようとしていた。だが、その後も「教鞭を取っていた」とされたジェツリオ・ヴァルガス財団から「その事実はない」とされ、さらに「退役軍人」という肩書きも正式には軍の在籍期間の短い「準退役」の扱いで、全国教育開発財団(FNDE)の会長職に就く際にも、試験なしで昇格させてもらっていたという報道も行われた。
これらの指摘を受けた6月30日、デコテッリ氏は辞表を提出。ボルソナロ氏もそれを受入れ、結局デコテッリ氏は指名だけの、正式就任することのない教育相で終わった。
これでボルソナロ政権の教育相は、発足1年半で3人が辞任したことになった。
今回、軍部が推薦したデコテッリ氏が辞任したことにより、その前任のアブラアン・ウェイントラウビ氏が属していた、極右思想家オラーヴォ・デ・カルヴァーリョ氏の派閥が勢いづく事が予想される。オラーヴォ派は軍部と連邦政府内において、激しく対立している。
連邦政府は次の教育相選びをはじめているが、フォーリャ紙によると、候補のひとりにサンパウロ総合大学(USP)の教授のイローナ・べクセハジ氏の名前があがっているというが、それがボルソナロ支持派の間で物議を醸しているという。それは同氏が、反ボルソナロ派として有名なコメディアン、グレゴリオ・デュヴィディエのいとこであるためだ。
加えて、工業系大学の最高峰ITA(航空技術大学)学長のアンデルソン・リベイロ・コレイア氏も有力候補としてマスコミに取り上げられている。キリスト教福音派で、空軍に近い存在、しっかりとした教育家職歴を持っているとされている。この辺が選ばれるなら、軍部でもイデオロギー派でもない中間層から選ばれることになりそうだ。