ラヴァ・ジャット(LJ)作戦を管轄するパラナ州連邦検察局が、非公式に米国FBIの介入を求め、派遣捜査官がブラジルに滞在し、LJ捜査に関して熟知していた疑惑が発覚し、波紋を投げかけている。1、2日付現地サイトが報じている。
これは、7月1日付けサイト「ア・プブリカ」(https://apublica.org/2020/07/o-fbi-e-a-lava-jato/)がスクープ報道した。2019年にヴァザ・ジャット報道で話題を呼んだサイト「ジ・インターセプト」が協力した。
それによると、パラナ州検察局は2014年に経済協力開発機構(OECD)の会議でFBIにラヴァ・ジャットへの協力を非公式に呼びかけていたという。この年から、FBIはレスリー・ロドリゲス・バックシーズ(Leslie R. Backschies)氏という女性捜査官を伯国に派遣していた。
レスリー氏はFBIに20年以上在籍するベテランで、2012年から堪能な語学力を生かして中南米担当者として派遣されていた。ブラジルにも12年に、14年のサッカーのW杯のテロ対策の会合に呼ばれていたが、14年からはLJ作戦担当になった。
15年10月にパラナ州検察局は、米国法務省とFBIとつながりのある米国人検察官17人を招いて会合を行なっている。パラナ州検察局の検察官の通話記録を所有しているインターセプトが同検察官の通話から確認したところ、この会合は当時のジウマ政権には知らされずに行われていたという。
翌16年3月、レスリー氏は、LJ班が強く主張した内容が含まれ、連邦議会で通過した法案「汚職防止の10カ条」を手に持ち写真に写されている。撮ったのはLJ捜査官のタメア・ダネロン氏で、LJ主任のデウタン・ダラグノル氏に写真を送り、レスリー氏のLJ班への協力ぶりを喜んでいる様子がインターセプトによって今回報道されている。この報道後、タメア氏はネット上のすべての動きを止めている。
さらにレスリー氏は18年にサンパウロ市で行われたCKRローという国際会議にFBIや米国法務省関係者と共に参加。そのときにレスリー氏はLJ班スタッフに対して「私達とブラジルの関係は、財政犯罪捜査の見本だ」「まだ関係は始まったばかり。これからも戦っていこう」というメッセージを送っていたことが今回の報道で確認されている。
レスリー氏は現在米国に戻り、マイアミにFBI支所を構え、外国汚職対策法(FCPA)に基づいた汚職捜査専門家として活動している。その一端は、ラヴァ・ジャット捜査の延長で、同米国法によってオデブレヒト社やペトロブラスに40億ドルもの巨額な罰金を課して、米国、ブラジル、スイスに支払わせたことだ。
今回の報道を耳にした、LJ作戦に関して収賄などの有罪判決を受けているルーラ元大統領は「LJ班とFBIの接近の目的は、ペトロブラスとプレサウへの利権にあるのではないか」との疑問を呈している。