3日午前、サンパウロ市で連邦警察と連邦検察庁によるラヴァ・ジャット作戦が行われ、サンパウロ市市長、サンパウロ州知事、保健大臣などを歴任した大物政治家、ジョゼ・セーラ上議(78歳、民主社会党・PSDB)の自宅で家宅捜査が行われた。
セーラ氏は建設大手オデブレヒト社から収賄を行なっていた疑いが持たれている。セーラ上議は「攻撃的な捜査で、非合法だ」と強く非難している。3日付現地サイトが報じている。
今回の捜査では、セーラ氏と娘のヴェロニカ氏が収賄と資金洗浄の容疑で連邦検察庁から告発を受けた。今回の捜査では8つの捜査令状が出され、サンパウロ市とリオで捜査が行われた。
家宅捜査が入ったのはセーラ氏の住む西部アウト・ダ・ピニェイロスの自宅だけでなく、南部ヴィラ・ノヴァ・コンセイソンにあるPSDBの元会計だったロナウド・セーザル・コエーリョ氏の自宅にも行われた。同氏は告発を受けていない。
セーラ氏はサンパウロ市市長(2005~06年)、サンパウロ州知事(07~10年)をつとめたサンパウロ州政界の大物であるだけでなく、02年、10年の大統領選にPSDBの候補として出馬し、共に次点で終わるなど、全国的にも知られた存在。19年からはサンパウロ州選出上議となっている。
連邦検察庁によると、セーラ氏の疑惑は大きく分けて収賄と資金洗浄だという。収賄では、06~07年にかけて、オデブレヒト社から450万レアルを受け取った疑い。これは06年に行われたサンパウロ州知事選に使われたと見られている。もうひとつは09年から10年にかけて高速道開発公社(DERSA)を通して行われた疑いのある230万レアルの収賄疑惑だ。
セーラ氏とヴェロニカ氏には2006年から14年にかけて、ロドアネル高速道路の南部方面の建設を巡る賄賂を資金洗浄していた疑いがもたれている。国外の口座に隠していた可能性があるという。
450万レアルの収賄に関しては、2006年の終わりにセーラ氏が支払いを求めたというが、その際、オデブレヒトとの仲介役としてブラスケン社のペドロ・ノーヴィス役員が入っていたという。支払い先は国内ではなく、セーラ氏の長年の親友である企業家のジョゼ・ピント・ラモス氏が国外に持つオフショア「サークル・テクニカル・カンパニー」の口座に払われていたという。
ラモス氏とヴェロニカ氏は、セーラ氏の名前を隠すために国外に架空の企業を作り、そこにオデブレヒトからの支払いを受けていたという。さらに両氏は、オデブレヒトからの支払い経路を隠すために、ヴェロニカ氏名義の別のオフショア口座を作っていた。そこから2014年にスイスの別の秘密口座に資金を移動したとされている。連邦検察庁は、そのスイス口座の400万レアルに対して差し止め命令を出している。
なお、70歳以降の犯罪は刑期半減の特典があるため、今回の捜査で、セーラ氏は2010年までの罪しか問われていない。ラモス氏も70歳を越えていたため告発を受されていない。
今回の疑惑は、過去に何度か報道されている。セーラ氏は今回の捜査に対し、「昔の告発内容で、すでに法的に対処された過去の出来事。コロナ禍の最中にする必然性がまるでない上に、衝動的だ」と激しく批判している。