南米共同市場(メルコスル)と欧州連合(EU)との貿易協定の締結の鍵を握っているのがブラジルの森林伐採問題で、それが解消されない限り、FTA協定の締結はなく、国外からの投資も促進されないと、3日付現地サイトが報じている。
メルコスルとEUのFTA協定は昨年6月に、双方の合意を経て発効することが発表された。これはメルコスルにとって10数年来の悲願で、実現すれば両グループ間での関税障壁が撤去されるなど、加盟国にとっては大きな利点となる。
だが、加盟国が承認する上で障壁となっているのは、法定アマゾンの森林伐採問題だ。貿易協定成立のためには、EU加盟国のすべての国の議会での承認が必要だが、すでに6月上旬にオランダがボルソナロ氏が容認していると見られる森林伐採問題を理由に否決し、暗礁に乗り上げかけている。
ボルソナロ大統領は2日、メルコスル首脳のビデオ会議に参加した際、「欧州で、自分や連邦政府が森林問題や原住民問題で実際に行なっている姿を見てもらえず、歪められたイメージばかりが先行している」と嘆いた。
イメージアップ戦略として、連邦政府から複数の人を欧州の国々に送り、ブラジルの努力について説得させたいと、大統領は考えている。だが、ブラジルが具体的にどういう対策をしているかは明確にはしていない。
この会議の前に、エルネスト・アラウージョ外相も「メルコスルは協定を早く結ぼうと動いている最中であり、EUとの締結はすぐそこまできている」と主張している。だがフランスのマクロン大統領は6月29日に、「パリ協定を遵守しない国とはいかなる協定も締結しない」と改めて主張しており、締結の前進は疑問視されている。
ボルソナロ大統領の森林伐採問題は国際的な企業間でも問題視されており、世界9カ国の20の投資企業のグループが、この問題について討議することを求めている。