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ユニオン三重=「リーマンショック時より深刻」=雇用相談3カ月で700件超え=うち8割が外国人労働者

 コロナ禍により、事業が縮小化し日本で働く外国人労働者が相次いで「コロナ切り」にあっているというニュースが日本から報道されている。デカセギ達は今どういった現状なのか、在日ブラジル人が多く住む三重県の労働組合ユニオンみえ(三重一般労働組合)の神部紅(じんぶ・あかい)さんに6月末にメール取材すると「相談件数が急増。リーマンショック時より深刻」と回答した。

 コロナ禍によるデカセギをとりまく環境について神部さんは、「かつて口減らしのためにブラジル移民船に乗せられた労働者の子孫は、労働力不足を補うために日本に呼び戻されるも、リーマンショックでクビを切られ帰国を余儀なくされました」と歴史や過去の事例と照らし合わせ、「さらに今回も物のように使い捨てられる状況がひろがっています」と悲観的状況を総括した。
 「解雇と同時に住んでいた寮から出て行けと追い出しにあっている」――同組合に助けを求める日系ブラジル人の中にはこのような切迫した状態にある人もおり、「生活面での対応も必要になっています」と説明する。「08年のリーマンショック時より外国人労働者には深刻な影響を及ぼしているのでは」との見識を示す。
 コロナ禍を理由とした「解雇」や「雇い止め(コロナ切り)」を受けたという相談の多くは製造業で働いていた派遣労働者で、「特に自動車関連の工場が多い」傾向だという。労働時間や契約期間の短縮化といった「労働条件を不利益なものへ変更された」という相談も多く寄せられた。
 コロナ禍に絡んだ雇用相談は2月段階で0件だったが、3月から急増し「6月までに700件の相談を受けた」という。そのうちの8割を外国人労働者が占めており「多くの外国人労働者の契約は3カ月毎更新で、天災や惨事に見舞われると雇用の調節弁として扱われがちです」と神部さんは語る。
 多くの在日外国人が有期派遣労働者という実情があり、「コロナ切り」に合いやすくなっている。厚生労働省も「外国人を理由に解雇をしないよう」という多言語のリーフレットなどを配布して、外国人向けの雇用相談先を案内するなどの対策に乗り出している。だが、効果は「今の所は見られない」という。
 厚労省が講じた対策には「肝心な外国人労働者の手に届くような手立てを取っていない」ともどかしさを感じている。
 「医療補償や社会保障がしっかりしていれば、ここまでの被害にならなかったのでは」と感染症対策の脆弱さを問題提起した。「体調が悪い際に気軽に休めるような職場環境や、労働者にとって優しい働き方を取り戻して行く運動も必要です」と訴える。