ブラジルは庶民のみならず、政界でもボルソナロ大統領を筆頭にコロナ感染が蔓延している。大統領が新型コロナウイルスのPCR検査で陽性と診断された7日、大統領府は職員3400人のうち108人の陽性が確認されたと公表した。上院議長に加え、27州知事中の3割がすでに感染済みであり、主要大都市の市長にも感染者が続出する事態になっている。
大統領府の感染者のうち77人はすでに回復、31人の症例は調査中。これらの症例の90%以上は無症状か軽度の症状しか示さなかったという。
大統領府は、職員に症状が現れた場合は医師の検査を受けること、感染が疑われるケースがある職員は検査結果が出るまで自宅で待機することを推奨している。
大統領官邸の敷地内、別館、隣接地には494個のアルコールジェルが設置され、共用部分の清掃作業が強化されている。リモートワークの職員については「対面業務への復帰の見通しや指針はまだ出ていない」とし、ガイドラインに沿って感染リスクのある職員への対策を実施していくという。
今回の大統領感染とは関係なく、感染済み者リストにはダヴィ・アウコルンブレ上院議員(DEM)とネルシーニョ・トラッド上院議員(PSD)の名前もある。
閣僚間での感染者はこれまで、大統領府安全保障室(GSI)のアウグスト・ヘレノ室長と、ベント・アルビケルケ鉱山動力相の2人だけだった。だが、今回の大統領の陽性確認後、直近で会合をしている13人の閣僚も検査を行った。
一方、7日までに知事の30%近くに感染が確認されている。ボルソナロ大統領の反対派であるウィッツェル・リオ州知事(PSC)は、3月14日と早々に発熱や喉の痛み、においの消失を感じて検査を受けたと発表。
直近の事例として今月1日に感染を発表したサンタ・カタリーナ州のカルロス・モイセス知事(PSL)をはじめ、マットグロッソ州のマウロ・メンデス知事(DEM)、パラー州のエルデル・バルバーリョ知事(MDB)、アラゴアス州の知事レナン・フィーリョ知事(MDB)、ペルナンブコ州のパウロ・カマラ知事(PSB)、エスピリト・サント州のレナト・カザグランデ知事(PSB)、ロライマ州のアントニオ・デナリウム知事(PSL)が感染を公表している。
感染者には主要大都市の市長もいる。サンパウロ市のブルーノ・コーヴァス市長(PSDB)は陽性反応だったが症状は出ず、消化器系のガン治療のため定期検診をしている。マナウス市のアルツール・ヴィルジリオ・ネット市長(PSDB)の場合は深刻で、74歳でウイルスに感染し、肺の30%が危険にさらされていた。しかしその後は順調に回復し、6日にはサンパウロ市のシリオ・リバネス病院で治療を続けることを発表した。