10日、ボルソナロ大統領は新教育相としてミルトン・リベイロ氏を指名した。ボルソナロ政権では1年半で4人目の教育相となる。保守的な福音派の牧師でもある同氏の指名は、極右思想家オラーヴォ・デ・カルヴァーリョ氏の派閥を喜ばせる結果となっている。11日付現地紙などが報じている。
先月18日にアブラアン・ウェイントラウビ氏が解任されて以降、教育相選考は難航していた。25日には、軍派閥が推すカルロス・アルベルト・デコテッリ氏が指名され、就任式直前まで行っていたが、学歴や経歴の詐称告発が続出して、わずか5日後に本人が辞表を提出した。
その後、中道勢力「セントロン」が推すパラナ州教育局長のレナト・フェデル氏が指名直前までいったが、内部の反対が強い上、本人が固辞したため断念した。
その後、社会自由党(PSL)で同党の連邦政府リーダーを務める陸軍予備役少佐のヴィットール・ウゴ氏も一時俎上に載せられていたが、ウェイントラウビ氏辞任から3週間してようやくリベイロ氏で落ち着いた。
今回指名されたリベイロ氏は陸軍予備役軍人で、サントス長老派教会の牧師として知られている人物だ。同氏は、サンパウロ州カンピーナスの南長老派教会大学を卒業後、サンパウロ州立総合大学(USP)で教育学の博士号を取得し、サンパウロ市のマッケンジー大学で副学長を務めていた。
リベイロ氏は、子供の教育で体罰を奨励し、性に関しての公での発言に制限を加えたいとの意向を話していたことが既に動画(体罰のものに関しては、メディアの報道の後に削除)などで出回るなど、保守的教育者として知られている。
ボルソナロ氏とリベイロ氏の関係は、ボルソナロ氏が2018年に大統領選に当選して直後に組んだ大統領府倫理委員会の委員として、彼を真っ先に選んだことで知られていた。ボルソナロ氏はこの委員を選ぶ際、ブラジルで影響力が強く世界的にも有名な教育家パウロ・フレイレ氏を否定し、「伝統的な家族の価値を高めるような人材を」として選んでいる。
今回の人事は、連邦政府内のオラーヴォ派を喜ばせる結果となった。ボルソナロ政権下では、初代のリカルド・ヴェレス・ロドリゲス氏とウェイントラウビ氏がオラーヴォ派で、現在も教育省内ではその影響力が強い。
だが、軍部を中心に反オラーヴォ派の力も強まっていたため、極右イデオロギー系の人物を教育相に選びにくくなっていた。リベイロ氏は直接的にはオラーヴォ派とは呼べないものの、保守的な福音派イデオロギーの持ち主であることから同派を喜ばせている。
ボルソナロ大統領はリベイロ氏を指名する前に、ウェイントラウビ氏が指名したオラーヴォ派の人物を倫理委員会のメンバーに指名しており、同派閥の足場硬めもしている。