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《サンパウロ市》警官が黒人女性を抑えて首踏む=ブラジル版Gフロイド事件?

13日の「ファンタスチコ」での問題のシーン(twitter)

 サンパウロ市で51歳の黒人女性が、軍警によって地面に倒され、動けないように首を踏まれる映像が、テレビで12日に報道されて物議を醸している。これは5月に米国で起こり、全米規模のデモにつながった事件との類似性で語られ、ブラジルでの黒人に対する暴力問題を浮き彫りにした。13日付現地サイトが報じている。
 この模様は、12日放送のグローボ局「ファンタスチコ」で報道された。そのビデオの中では、黒人女性が車の後ろにうつ伏せに倒された状態で、その女性が動かないように軍警が左足でその首の後ろを踏んでいるショッキングな姿が映し出されていた。
 これは今年の5月25日、米国ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性のジョージ・フロイド氏が白人警官デレク・ショーヴァン容疑者から、地面に倒され、首を足で踏まれて窒息死させられた事件を思い起こさせるものとして、軍警へ強い非難が叫ばれている。米国ではこの事件の後、「ブラック・ライヴス・マター(黒人の命は大事)」の運動が全国規模で巻き起こり、現在まで続く一大事件となった。
 今回の件は、5月30日にサンパウロ市南部パリレェイロスで起こったもの。女性は自分の手一つで5人の子供と2人の孫を育てている身で、事件現場の近くで小さなバールを営んでいるという。

 事の発端は、彼女のバールがこの日に外出自粛令を無視して違法で開店していたところ、客の一人が大きな音を立てて車で駐車。近隣住民の苦情で軍警がパトカーでかけつけたという。彼女はこの客をかばおうとしたが、軍警に暴力を振るわれたという。この件で彼女は命に別状はなかったものの、足と顔面を骨折する大怪我をしている。
 軍警は「彼女が鉄棒で襲ってきた」と正当防衛を主張している。だが、女性は「こちらが議論しようとすればするほど、警察の暴力がひどくなった」と軍察に反論している。
 この報道を受けたジョアン・ドリア・サンパウロ州知事は「強い怒りを引き起こすもので受け入れることは出来ない」と発言。この件に関与した2人の軍警は懲戒免職になることが確実視されている。