新型コロナウィルスの世界的拡大を受け、感染予防のために緊急一時帰国をした国際協力機構(JICA)の海外協力隊員のうち、7月8日に任期満了を迎える2018年度1次隊の28人が、オンラインによる最終報告会を実施した。6月29日~7月2日の4日間にわたり日本時間の夜に開催され、活動内容や悩み、成果などが共有された。報告会には在ブラジル日本国大使館、在サンパウロ総領事館、在マナウス総領事館から来賓を迎え、報告会初日には山田特命全権大使から激励の言葉も送られた。
サンパウロ市内のブラジル日系熟年クラブ連合会に高齢者介護として派遣された岡田みどり隊員は、体操やレクリエーション、高齢者の生きがい作りや健康維持の話など、熟年クラブの本部のみならず各支部や外部団体に足を運び活動を行った。
サンパウロ州立総合大学の老年学セミナーでの発表依頼があった時は、「筋肉の重要性と維持、日本での取り組みとブラジルでの活動」という題で講演し、その後、会場にいたテレビ局関係者から取材依頼を受け、グローボの健康番組「Bem Estar」で再度、筋肉の重要性と維持について情報発信を行った。大学での講演やテレビ放送後は、活動がさらに忙しくなり、より頻繁に高齢者の筋肉維持体操の活動を実施したとの報告があった。
その他、サンパウロ州スザノ市の公立小中学校で活動した飯田浩之隊員は、相撲を通して体育的教育を行い、授業の中で相撲の知識や技術だけでなく、整理整頓や規律を教え、団結力や忍耐力を育む工夫を取り入れながら活動した様子を報告した。
ブラジル日本語センターに配属された片山恵(めぐみ)隊員は、活動の中でも特に注力した日本語教師養成講座や汎米日本語教師合同研修会について発表し、着任後の半年はこれらの研修のビジョンを明確化するため関係者と会議を重ね、何を目指すのか、どのような教師を育成したいのかを熟考したことが共有された。その後はビジョン達成のために研修内容を抜本的に見直し、新たな講座、研修内容を作り上げたことが報告された。
どの隊員からも、ブラジルで世話になった配属先関係者に対する感謝の言葉が繰り返し聞かれ、ブラジルと日本は地球の反対側に位置するが、心は近く繋がっていることが感じられる熱のこもった報告内容だった。JICA関係者からは「この関係が今後も継続されることを期待したいと思うと同時に、この場を借りて、各地の日系社会の皆様に改めてお礼申し上げたい」との謝辞も声も聞かれた。