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《ブラジル》青年層1千万人に高卒資格なし=黒人や褐色者が7割占める

 ブラジルでは昨年、高校が卒業できなかった14歳から29歳までの青年が1100万人にのぼったことが地理統計院(IBGE)の発表で分かった。うち70%は黒人や褐色人種が占めていると15日付エスタード紙が報じている。
 15歳から急激に中退率が上がっており、半数は「働く必要がある」といった理由で学業中断を余儀なくされている。女性の場合は23・8%が「妊娠」を理由に中断する結果となっている。
 IBGEの労働所得アナリストのマリーナ・アグアス氏は「高校中退率を下げるために幅広い議論がされていると思うが、学業の他に仕事や家事をする必要がある現実をもっと考慮しなければならない」と貧困問題解決の重要性を指摘する。
 公教育改善活動に携わる組織インスティトゥート・ウニバンコの責任者リカルド・エンリケス氏は、「黒人家庭は経済状況が不安定で、社会構造上の人種的不平等が教育面にも明確に表されている」と述べた。

 義務教育課程を修了した25歳以上の成人の割合を比較すると、白人は57%に対し、黒人や褐色人種は41・8%となっている。就学年数の平均では白人は約2年多く教育を受けている。
 エンリケス氏は、「義務教育にも関わらず、人種により格差がある」とし、教育格差解消のためには「社会構造上の人種差別」を認識する必要があると指摘。ブラジルの歴史に深く関わりがあることを理解し、課題解決策を打ち出さねばならないと述べた。