新型コロナウイルスに対する中国製ワクチンの治験を21日からサンパウロ市のクリニカス病院ではじめると、州政府は20日に発表した。20日付現地サイトが報じている。
ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事の記者会見内容によれば、この治験は同ワクチンの第3段階のもので、クリニカス病院の医療従業者ら890人がボランティアとして参加する。
すでにシノヴァック・バイオテック(Sinovac Biotech)社の中国製ワクチンは、約2万個がドイツのフランクフルト経由でクンビッカ空港に到着しているという。
この治験は、サンパウロ州ではブタンタン研究所の協力のもとで行われる。ブラジルのほかの地域でも行われ、全国で合計して9千人が参加すると見られている。
州政府によると、今回の実験には90日間をかけるとしており、ボランティアには2週間おきに経過観察を行うという。
ドリア知事によると、もし良い実験結果がでれば、2021年早々にブタンタン研究所で1200万個の製造をはじめたいとしている。
一方、イギリスのオックスフォード大学はこの日、世界で行われている同大学が開発したワクチンの実験成果を発表し、「安全で抗体反応も見られた」と発表した。このワクチンは一足早い6月22日から、サンパウロ市内でサンパウロ連邦大学(UNIFESP)の協力のもと第3段階の治験が行われている。
このオックスフォードのワクチンの方は、イギリス国内で第1、第2段階のテストが成功している。現在、ブラジルを含め多くの国でテストされている第3段階がうまくいけば、UNIFESPの見解によると、来年6月にはワクチンとして正式利用できるのではないかとのこと。