連邦警察は21日午前、ラヴァ・ジャット作戦を行い、元サンパウロ市市長・聖州知事という政界の重鎮、ジョゼ・セーラ上議(民主社会党・PSDB)に500万レアルの不正献金を行なった容疑で、ブラジル最大手の健康保険企業クアリコープの創業者を逮捕した。セーラ氏は3日にも捜査を受けたばかりだった。21日付現地サイトが報じている。
「パラレロ23」と銘打たれた今回の捜査は連警が選挙検察の協力を借りて行い、サンパウロ市、ブラジリア、サンパウロ州イタチーバ、イトゥで行われ、捜査令状は19に及んだ。捜査目的はクアリコープ社が2014年のセーラ氏の上院議員の選挙の際に500万レアルの不正献金を払った贈賄と資金洗浄の容疑によるものだ。
この捜査により、同社創業者のジョゼ・セリピエリ・ジュニオル容疑者が逮捕されたほか、今回の贈収賄計画に関わったとされるアルトゥール・アゼヴェド・フィーリョ、ミノ・マットス・マザマッティ、ローザ・マリア・ガルシアら3容疑者もあわせて逮捕された。
今回の捜査では、セーラ氏のブラジリアのアパート、サンパウロ市内にあるセーラ氏の物件も捜査対象となった。連警は当初、セーラ氏の上院内の事務所への捜査も希望し、いったんは地裁判事が認め、それに基づき「上院内も捜査」という報道まで行われていた。だが、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長が「連邦議員の捜査に関しては最高裁の権限」との訴えを起こし、ジアス・トフォリ最高裁長官が上院内に関しては却下した。
選挙検察によると、クアリコープ社は2014年のセーラ氏の選挙の際に、選挙キャンペーンを支援する契約を贈賄を行うために形式上行い、仲介者を介して賄賂を支払ったという。
支払いは3回に分割され、最初の2回が100万レアルで、残りが300万レアルだった。手口は計算されたもので、「広告費」と称したものを架空の印刷会社などに支払い、その受け取った架空企業がセーラ氏の元に金を回していたという。この500万レアルに関しては選挙高裁に届け出がなかった。
セーラ氏は今回の捜査を「根拠のない嘆かわしいもの」と発言し、司法が公正な判断を行うことを望んだ。
セーラ氏は今月3日にも、収賄と資金洗浄の容疑で家宅捜査にあっている。このときの容疑はオデブレヒト社が行った報奨付き証言(司法取引)に基づくもので、セーラ氏は2006年の選挙の際に同社から450万レアル、2009年から10年にかけてサンパウロ州都市開発局(DERSA)のロドアネル建設に関して2300万レアルの贈賄をスイスにある秘密口座で受け取った容疑。協力したとされる娘のベロニカ氏と共に捜査対象となった。