21日に下院議会に提出された税制改革案の第一段階で、連邦政府は、社会統合基金/社会保険融資納付金(PIS/Cofins)を統合する「財・サービス納付金」(CBS)を提案して一括12%の課税としたが、銀行など金融機関に加えて保険や健康保険への課税は5・8%と低く抑える提案を行なった。
今回の税制改革では、世界一複雑といわれるブラジル税制の根本的な改革、抜本的にシンプル化することが期待されていた。ボルソナロ政権による大型改革の目玉とも期待されていたが、しりつぼみに終わりそうな気配が見えてきた。下院案、上院案でも多数の連邦税を統合する提案が行われていたが、肝心の今回の連邦案では2つの税金が統一されるのみだった。
ただし、まだ第1段階であり、今後に市税(ISS)や州税(ICMS)を統合するような大きな流れになる可能性はある。むしろ、連邦政府よりも連邦議会側からの提案で、そのような方向に向かう可能性が残されている。
今回の政府案では、教会、政党、労働組合、財団、業界代表団体、SENAIやSESCのような社会サービス機関、社会福祉団体など利益を目的としない法人は免税される。
一方、教育、セキュリティ、情報技術、通信、ホテル、航空輸送などの消費者に労働集約型のサービスを提供する企業は、税負担が増えそうだ。政府案によれば、学費や医療相談などのサービス価格が上がる可能性がある。
その理由は、CBSで採用される付加価値税(VAT)では、高い人件費を補償するシステムがないからだ。だからこれら業界の代表団体は、この実質的増税をやめさせようと動いている。
国税庁のジョゼ・バローゾ・トステス・ネット特別局長によれば、課税総額を維持することを原則としている。「パウロ・ゲデス経済相の基本方針は税負担を増やさないこと」と認めた。全体として増えなくても、部門によって増減が生じる。国税庁のデータによると、2018年の連邦収税総額1兆5400億レアルのうち、PIS-PasepとCofinsは合計3100億レアルだった。
今回の改正案はあくまでも税制改革の第一段階だ。パウロ・ゲデス経済相の意向では、今後いずれかの段階で、旧金融取引暫定納付金(CPMF・通称小切手税)に似たような新税を提案し、その分、企業が負担する所得税を減らし、雇用を増やしたいと考えている。経済相は、新型コロナウイルス収束後の経済成長のためにこれを最も重要と考えている。
ボルソナロ大統領は議会での早期評決を求めているが、より包括的な改正案が承認される可能性もある。ICMS(商品流通サービス税、州税)やISS(サービス税、市税)も含めた大規模な改革を、州や市が望んでいる。だが、ゲデス経済相は改正案の発表で、「州や市を含めた税制改正を行うかどうかは連邦議会の手に委ねられている」と述べ、とにかくまず最初に政府案の付加価値税(IVA)を承認することを提唱した。