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コロナ禍=駐在家族9割帰国で大打撃=たんぽぽ学園・串間園長に聞く=オンラインで運動会を開催

串間園長

串間園長

 「このコロナ災禍で、当園も3月からずっと休園しています。政府による自粛緩和が発令され、9月8日にやっと再園可能になり、少し光が見えましたがまだまだ先は長いですね」―サンパウロ市ビラマリアーナ区にある日系幼稚園「たんぽぽ学園」の串間薫シルヴィア園長(58歳・二世)は、外出自粛令が発令されてから4カ月が経った現状を、そう説明した。


 同園は現在50人程の園児が在籍しており、ブラジル進出日系企業駐在員の子供が7割、日系人の家庭の子供が3割を占める。既報のサンパウロ日本人学校と同じく、親が勤務する各企業の指示により一時帰国する駐在員家族が多く、同学園では駐在員家族合計15組の内、14組が日本へ一時帰国しているという。
 しかも、その内の半分が本帰国へ変更、または他所への異動命令で退園する可能性がある。

たんぽぽ学園

たんぽぽ学園

 串間園長は、「この災禍で通園していた駐在員家庭の園児35人のうち、ブラジルに残っているのは1人。帰国した方の中では本帰国への変更や転勤の話がでている方もおり、当園の経営はギリギリです。ただ、こんな渦中でも経営状況を理解して月謝を納入し続けてくださる保護者の方々や、家賃を融通してくださった不動産会社などには本当に感謝しかありません」と頭を下げる。
 園児向けの遠隔授業の難しさに関して「当園が預かる生徒は1歳~5歳と小さい児童なので、オンライン授業を行う場合、親が横につきっきりになる必要があります。自宅で業務を行っている家庭もあるため、その事を考慮して、通信学習形式にしています。教材を毎日父兄に送り、空いた時間に子どもの横について課題を行ってもらう方法です。ホームオフィスを行っている日系家庭や日本に帰国した家庭も考え、この対応を選択しました」と説明する。

通信学習の教材

通信学習の教材

 一方、このコロナ禍で中止になった運動会をオンラインで行った。「この自粛中も子ども達に少しでも楽しんでもらう為、6月28日にオンライン運動会を行いました。事前に簡単なゲーム式の遊びを児童が行い、それを父兄が撮影。その動画を元に得点を付けて勝ち負けを競う発表会形式で行いました。初の試みでしたが、画面越しで久しぶりに園児同士が顔を合わせたということもあり、大いに盛り上がりました」とのこと。
 串間園長は、9月8日の再開に向けた感染対策について、「あと1カ月弱で再開できますが、やはりまだ通わせるのが怖いという親の声も聞きます。当園は少しでも保護者と園児が安心して通園できるよう、しっかりと感染対策を行います。これをきっかけに、日本の学校の習慣である上履きの制度を取り入れるなどを検討しています。大変な状況ですが、また以前のように楽しく園児が通う日々を待ち望んでいます」との期待をのべた。