最高裁のジアス・トフォリ長官は27日、ウィルソン・ヴィッツェル・リオ州知事(キリスト教社会党・PSC)の州議会での罷免審議をいったん差し止め、同問題に関しての新たな委員会を組むよう命令を下した。28日付伯字紙が報じている。
トフォリ長官のこの命令は、ヴィッツェル知事側の弁護士による異議申し立てに応えたもの。弁護側は「罷免審議のプロセスが不正のものだった」として訴えを起こしていた。
弁護側は「罷免審議委員会の委員が投票もなく決められた」「法律で定められている18人ではなく25人の委員を選んだ」「委員の配分が、リオ州議会での政党構成の割合と一致していない」ことなどを理由に最高裁に訴えていた。
トフォリ長官はこの訴えの正当性を認め、今の罷免審議委員会の審議を差し止め、新たに編成される委員会で審議を行うよう命じた。
ヴィッツェル知事は、リオ州の保健局が行なったとされる、人工呼吸器など新型コロナウイルス対策の医療品不正購入スキャンダルに関与したとして罷免請求されていた。同知事の夫人が35万レアルの賄賂を受け取った疑いがあるとされている。
ヴィッツェル知事は保健局の不正については「知らなかった。関与していない」と訴え、この疑惑に関して「コロナ対策での外出自粛令を遵守したことで、(以前から対立していた)ボルソナロ大統領からの報復に違いない」と反論した。
だが、リオ州議会では圧倒的な多数で審議開始が承認されており、知事罷免が現実味を帯びたものとなっている。