連邦検察庁のアウグスト・アラス長官が、「ラヴァ・ジャット(LJ)作戦」を管轄するパラナ州連邦検察局が今までやり過ぎていたと批判し、「そろそろ正常に戻すべきだ」と発言して大きな波紋を呼んでいる。29日付現地紙が報じている。
アラス長官の発言は28日、弁護士関係者が主催したネット討論会に参加した際に起こった。この席で同長官は、パラナ州連邦検察局が所有するデータの量が「全国の検察を合わせた量より多い、きわめて膨大なもの」であると発言した。
アラス氏は、パラナ州検察局のデータ量を「350テラバイト」だと明かし、「通常の連邦検察局だと40テラバイト止まりだ」と語った。
さらに同長官は「このデータの中には3万8千人にも及ぶ人物に関しての情報が含まれている」と語り、「しかもこの人物がどういう基準で調べられることになったのか誰も知らない」と批判した。
同長官は「パラナ州検察局には秘密が存在し、5万件に及ぶ資料が不透明なままになっている」とも語った。
こうしたことから、アラス長官は「今こそ”ラヴァ・ジャット至上主義”的な空気を正して、検察庁主導で新しい規範を示すときだ」と軌道修正を訴え、「仮にそれが正されたところで、汚職撲滅の後退にはならない」と正当化した。
このアラス発言はパラナ州連邦検察局にとって、6月下旬に「米国のFBIが非公式な協力を行なっている」と報じられたことに次ぐ問題告発となった。
これに関してパラナ州検察局は反論していないが、かつてラヴァ・ジャット担当の判事だったセルジオ・モロ前法相は「ラヴァ・ジャットに秘密など存在しない」と弁護した。
同長官はまた、サンパウロ州連邦検察局のラヴァ・ジャット班に関しても、「特定の個人への捜査を、しっかりした手続きを行わずに好き放題に行なっている」と批判した。同検察局は、民主社会党(PSDB)のジョゼ・セーラ、ジェラウド・アウキミンの二人の元サンパウロ州知事の疑惑捜査を敢行している。これに対して同検査局は「法だけでなく、検察庁にもしっかり従っている」と反論している。
検察庁の恒例で、全検察官が内部選挙で選んだ3候補から、大統領が長官を選ぶ「トリプリセ」制度に関しても、アラス長官は「不正の温床になる」と批判した。アラス氏自身が2019年、トリプリセの候補に入っていなかったのに、大統領の一存で長官に指名されたことから検察庁内で強い反発を呼んでいる。
それゆえ同長官は、同大統領への告発をお蔵入りにさせ続ける行為をとっているとしばしば指摘されている。だがこの討論会では「検察庁が大統領を告発できないシステムにしたいか」と質問された際、「それは起こりえない」と否定している。