ブラジルにおける新型コロナウイルスの死者が9万人に到達し、感染者数も250万人を超えた。いずれも米国につぐ世界第2位の数字で、この2国で世界の感染者、死者数の総数の3分の1を超えている。30日付現地紙が報じている。
29日午後8時、現地メディアの調査が発表され、1日の感染者が7万869人、死者が1554人増え、感染者が250万人を突破して計255万5518人となり、死者数が計9万188人となった。
この数は29日の時点で、感染者数456万8037人、死者数15万3840人の米国に次いで共に2位。この2国だけで全世界の感染者数、死者数の3分の1以上(全世界の総感染者数1717万7778人、総死者数66万9568人)を記録している。
この9万人という数字だけを単純に比較すると、まもなく75年を迎える、1945年8月6日に広島に原爆が落とされて数日間に亡くなった人の数に相当するものだという声もある。
29日一日で見てみると、ブラジルは感染者数、死者数共に世界一の増加数だった。この1週間の死者数の1日の平均は1043人なので、29日はとりわけ高い数字が出たことになる。その原因は、サンパウロ州が前日28日に集計上のトラブルが発生して統計が出せず、29日に2日分の死者数(713人)が発表されたため。
現在のブラジルでの死者数の増加を引っ張っているのは、感染爆発当時の南東部や北東部ではなく、南部や中西部に移っている。最近2週間での死者の増加の割合はそれぞれ28%と25%となっている。
特に懸念されているのは南部で、サンタカタリーナ州ではこの2週間で91%の死者数増を記録し、パラナ州、リオ・グランデ・ド・スル州は29日に共に71人の死者を出している。
南部、中西部は共に、コロナウイルスを軽視し続けるボルソナロ大統領の支持者が多い地域としても知られている。米国でも、トランプ大統領の共和党の知事州で感染者、死者が増加の傾向があることが報じられている。
新たに発表された研究によると、妊娠した女性がコロナウイルスに感染した場合、白人女性の死亡率が8・9%であるのに対して、黒人女性だと17%と、ほぼ2倍になることが、カンピーナス総合大学とサンパウロ州州立大学の研究により明らかになっている。
ボルソナロ大統領は、死者が9万人を超えたことに関して正式なコメントは出していない。同大統領は25日に、7日に陽性反応が判明していたコロナウイルスが25日にようやく陰性になったと発表されたが、30日にミシェレ夫人にコロナの陽性反応が出たことが発表されている。