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≪サンパウロ市≫コロナ死者1万人超=ドイツやアルゼンチン以上=でも飲食店は22時まで営業可能に

距離を開けて歩道も利用するバールの様子(参考写真、Foto: Tania Rego/Agencia Brasil)

 サンパウロ市は5日、市内の新型コロナウイルスの死者数が1万人の大台を突破して、1万55人になったと発表した。これはサンパウロ州全体の死亡者数の41・7%に相当し、チリ、アルゼンチン、ドイツ、南アフリカなどの国の総死亡者数を上回っている。この1万人余りの遺族・友人らは、しかるべき通夜や告別式などのお別れを行って、悲しみを癒すことすらできなかった。
 ブラジルで初めて新型コロナ死者が確認されたのは、サンパウロ市に住む62歳の男性で、3月16日に亡くなっていた。感染拡大から1カ月以内であり、州保健局が翌17日に発表した。その1週間後の24日、ジョアン・ドリア州知事により、自粛措置が開始された。
 その3月24日から始まった自粛措置も、4カ月余りが過ぎ、段階的緩和に入っている。ドリア州知事は緩和政策「サンパウロ計画」のレベル3(黄色)になって2週間経った地域(サンパウロ市も)では、6日(木)から午後10時までバールやレストランを再開してよいと発表した。5段階になっており、数字が多いほど緩和される。
 各店は6時間営業を認められ、営業時間は6時間を1回、もしくは3時間を2回を選択できる。ただし、店内の40%の受け入れ客数を保ち、着席客のみにサービスを提供すること。7月4日からレベル3(黄色)の市では、レストランは40%の受け入れ客数で1日6時間の営業を許可されていたが、午後5時までの営業時間制限があった。
 パトリシア・エレン州経済開発局長は、「飲食時以外はマスクの使用が義務づけられたまま」とし、店内でも「風通しの良い場所」に限定されていると強調した。
 サンパウロ市のブルーノ・コーヴァス市長は、飲食店舗近隣の歩道にテーブルと椅子を置くことができるようにする試験条例を開始すると発表。「他の欧米主要都市に比べて、サンパウロ市は歩道が狭い。そこをどのように利用するか工夫が必要」と述べた。

 コーヴァス市長は、社会的距離を守りつつサービス能力を拡大することを目指して、歩道利用の規制緩和をテストするとし、「各店舗と駐車場の間や、公共通路の使用を許可するようにする」と説明した。プロジェクト第一段階として、サンパウロ市セントロ区の4街路で試験運用する。
 同市長は、これらのテストが成功した場合は、他地域にも広げていく目論見だ。予定では、同試験運用は、開始から4週間以内の完了が見込まれている。
 午後5時までの開店可能になった7月最初の時点で、サンパウロ市議会のエドアルド・トゥーマ議長(PSDB)は、「もともと夜間営業のみのレストランは開店できない。午後5時までに限定した州政府の決定は、衛生面から見ても、経済面から見ても合理的な理由はない」と強く反発していた。
 午後10時までになった5日、同氏はサンパウロ州政府の決定を前向きに受け止めているとし、「レストランを含むサンパウロ市の最も多様な分野の景気回復に取り組んできた。州政府が発表した午後10時までの営業を認めるという決定は正しく必要なこと。この分野は他のすべての分野と同様に、再開の段階で多くの責任を示している」と述べた。
 ブラジル・バール・レストラン協会(Abrasel-SP)が7月初旬の段階で、サンパウロ市の140店舗を調査した結果、午後5時までの営業では、バールの80%、レストランの59%が開店する気はないと応えていた。