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≪ブラジル≫ゲデス経済相が質問に逆切れ=「米国こそ森林破壊、先住民虐殺」=アマゾンは主権の範囲内と反論

パウロ・ゲデス経済相(Foto: Alan Santos/PR)

 ブラジルのパウロ・ゲデス経済相は6日、米国ワシントンにあるシンクタンク「アスペン研究所」主催の「アスペン・セキュリティ・フォーラム2020(Aspen Security Forum 2020)」にオンラインで出席した。ボルソナロ政権の環境政策について質問された際、同相は「ブラジル国土内における主権を理解して欲しい。あなた方アメリカ人の懸念は理解できるが、あなた方も森林を燃やし、先住民を殺害して、彼らと混血してこなかった」などと反論して、波紋を呼んでいる。7日付PODER360サイト、エスタード紙などが報じた。
 このフォーラムは有名なシンクタンクの主催であり、多くの一般投資家、企業家、外交官、研究者が視聴することで知られている。そこに招待された同経済相は、新型コロナウイルス危機対策、ブラジルの森林伐採のほか、セルジオ・モロ前法相の政権離脱やボルソナロ政権での汚職問題などについて質問された。
 その際、同相はアマゾンの環境問題について質問された際に逆上したようにトーンを上げ、「ブラジルへの心配はありがたいが、アマゾンは私たちの国土であり、主権の範囲内だ。農産物を生産するためにアマゾンを森林伐採する必要はない」と反発した。
 さらに同相は「ブラジル陸軍は、(1876年のリトルビッグホーンの戦いで)インディアンを殺したことで知られる米国のジョージ・カスター将軍のようなものではない。そのような先住民大虐殺はブラジルでは起きていない」とも発言した。
 国際連合食糧農業機関(FAO)によれば欧州は42%が森林に覆われているが、その大半は第2次大戦後に再植林されたもの。米国は32%しか森林がなく、この30年間で3%しか増えていないと、ゲデス経済相はデータを上げ、「それに対して、ブラジルは1985年時点で国土の69%が森林、2018年でも59%だ」と強調し、十分に保護されていると反論した。

 ブラジルは国際投資家からアマゾン伐採対策を再三求められている中、それを真っ向から否定するような答弁に終始した。 
 同フォーラムの冒頭でゲデス経済相は、新型コロナウイルス感染拡大期間にブラジルが行なっている経済政策に満足していると話し、「公的市場では雇用の3分の1を維持しており、ブラジルが世界経済回復の先駆けとなるだろう」と述べた。
 同相は「ブラジルへの世界各国からのイメージの方が間違っている」と強調。ブラジルの教育面と環境面についての質問には、「過去13年間、労働者党(PT)政権が担当していた」と責任転嫁、現在では犯罪が減少していることなどにも触れ、ブラジルに対する世界の誤った判断の撤回を求めた。
 セルジオ・モロ元法相の政権離脱について、ゲデス経済相は「モロ氏が政権内にいた時は私の親友だったが、解釈の問題があった」と説明した。「ボルソナロ大統領は峡谷の真ん中を通過しようとして、両側に爆弾を落とした人たちがいた。モロ氏に対抗するのはボルソナロ大統領だけではなく、多くの人にとっても脅威だった」との見解を示した。
 ゲデス経済相は、2018年のボルソナロ氏の大統領選挙結果について「モロ氏には何の責任もない。誰もボルソナロが選挙に勝つとは分からなかった。だから、ボルソナロ氏がモロ氏のために当選したとは言えない。ボルソナロ氏は自力で当選した」と主張した。