今月4日に150人以上の死者と3千人以上の負傷者を出したレバノン首都ベイルートの大爆発に対して、ボルソナロ大統領は支援概要を9日午前に発表した。この発表はオンライン国際会議の中で行われ、レバノンのミシェル・アウン大統領、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、米国のドナルド・トランプ大統領を含む各国首脳が出席した。
その中でボルソナロ大統領は、レバノン移民二世のミシェル・テメル前大統領をベイルートのブラジル使節団代表として派遣することを発表。テメル氏本人も9日、同ミッションを率いるために任命されたことを光栄に思っているとし、「任命が正式に官報掲載されれば、その任務を全うするために必要な全ての努力をする」との思いを述べた。
4日付フォーリャ紙では、テーメル前大統領の激励の言葉「ベイルートでの非常に深刻な事件に落胆し、犠牲者のご家族に哀悼の意を表します。レバノン人の戦いと克服の精神が再び表れますように。頑張れ、私のレバノン!」も紹介された。
9日付けオ・グローボ紙は「テメル前大統領はラヴァ・ジャット作戦で捜査を受けている最中なので、出国するには司法の許可が必要」と報じ、翌10日には「テメル前大統領は司法への出国許可を申請中」と続報した。
テメル前大統領は先日セントロンを離脱したばかりの民主運動(MDB)の最重鎮であり、大統領が連邦議会工作を進めるために欠くことのできない存在だ。「テメル氏はボルソナロの政治顧問」と分析し、ベイルート支援でテメル氏に恩をうって関係強化を図ることで今後の議会運営を円滑化する思惑があるのではと解説する政治評論家もいる。
ボルソナロ大統領は「ブラジル在住のレバノン人コミュニティで集められた医薬品など医療消耗品を携えて、数日後にはブラジル空軍機がレバノンに向けて出発する。また、大爆発で破壊された穀物倉庫の損失を軽減するため、4千トンの米を船で輸送する準備をしている」とも説明。さらに「爆発調査に協力するため、多分野の技術チームを派遣することでレバノン政府とも合意している」とも語った。
4日の大規模爆発は、ベイルート港の倉庫内にあった2750トンの硝酸アンモニウムに引火したことで発生。近隣地域全体が壊滅的な被害を受け、30万人以上が家を失った。レバノンのハッサン・ディアブ首相によると、硝酸アンモニウムは「安全な措置をとらずに」6年間も保管されていたという。しかし、アウン大統領は7日、倉庫の爆発が過失によるものなのか、事故によるものなのか、外部干渉の可能性があるのかを判断するために調査を行うと述べた。
ボルソナロ大統領はまた、大規模爆発による犠牲者、負傷者や家を失くした人々への哀悼の意を表し、ブラジルのレバノン人コミュニティの歴史にも言及。「ブラジルは世界最大のレバノン人の移住先となっている。1千万人のレバノン系ブラジル人がダイナミックで参加型のコミュニティを形成しており、我が国に多大な貢献をしている」と述べた。