ブラジル中央銀行は14日、中銀独自の経済活動指数(IBC-Br)に基づくブラジル経済成長率が、第2四半期に10・94%縮小する見込みだと発表した。この指数は、国内総生産(GDP)の先行指数と考えられており、ブラジル地理統計院(IBGE)による正式な数値は9月1日に発表される。
第2四半期のGDP縮小が確認されれば、ブラジルは2四半期連続で活動水準が低下する正式な「景気後退」に突入することになる。第1四半期にはすでに1・5%マイナスだった。
今年4月から6月にかけての景気後退は、中銀が同年の第1四半期と比較して検証し、1年の異なる期間を比較するための季節調整を行った上で算出したもの。世界経済を落ち込ませ、世界を不況へと追いやった新型コロナウイルスの感染拡大の中で、今回の経済活動低下が起きた。ただし、6月からは工業や商業などの分野で回復の兆しも見せている。
先週の金融市場では、今年のブラジル経済は5・62%の景気後退が予想され、ブラジル政府は先月、20年のGDPが4・7%減となる見通しを維持していた。世界銀行はブラジルGDPが8%減、国際通貨基金(IMF)は9・1%減と予測していた。IBGEデータによると、19年のGDPはわずかに1・1%増を記録していたが、それ以前3年間で最も低い成長となっていた。
今回の指数(IBC-Br)によると、6月のブラジル経済は5月比で4・89%の成長を示している。今年は3月、4月に大幅な後退を記録した後、成長に転じた。ただし昨年6月の中銀発表と比較すると、経済活動指数は7・05%の低下を示している。
IBGEによると、今年の上半期の経済活動指数は6・28%の縮小を記録。20年6月までの12カ月間で、中銀の指数はGDPが2・55%の低下(季節調整なし)を示している。
経済活動指数(IBC-Br)の結果は「GDPの先行指数」とされているが、必ずしも公式の国内総生産成長率と一致するとは限らない。中銀指数には税金以外にも農畜産業、工業、サービス業などの推計が組み込まれており、両者の計算は多少異なる。
IBC-Brは、中銀が経済基本金利(Selic)を決定する際に使うデータの一つで、経済成長率が低ければ、理論的にはインフレ圧力は小さくなる。現在、Selicは年率2%と過去最低水準にあり、前回の通貨政策委員会(Copom)では資産価格の不安定化(例えばドル高)を引き起こすレベルに近づいていることから、中銀は更なる利下げに慎重な姿勢を示している。