連邦政府が現在作成している2021年度予算案で軍事費が大幅に増加し、2011年以降初めて教育予算を上回ることが予想され、反発を招きはじめている。17日付エスタード紙が報じている。
2021年度予算案は8月末までに、連邦政府から連邦議会に提案される見込み。エスタード紙がつかんだ情報によると、軍事費は2020年の730億レアルから約50%増の1085億6千万レアルに増えているという。
対して教育費は2020年の1031億レアルから1029億レアルに下げられている。軍事費の方が教育費を58億レアル上回っていることを意味するが、この10年ほどは起きていなかった。
この予算にはインフレ率は含まれていないが、公務員への給与や進行中のプロジェクト用に必要な経費、軍事費の場合には原子力潜水艦や空軍機の購入費なども含まれているという。
2020年の軍事費は元々730億レアルだったが、国防省は追加で410億レアルを受け取り計1140億レアルも使っていた。一方、教育費は1031億レアルだったが、教育省は1200億レアルを支出。170億レアルを超過支出したが、元々計上されていた予算では足りなかったことになる。
さらに21年からは、基礎教育開発基金(Fundeb)の更新に伴い、連邦政府の負担額がこれまでの10%から12%に上がることもほぼ決定的となっている。これに関しての憲法改正法案はすでに下院を通過しており、上院でも通過するものと見られている。
こうした現状の中で、教育費が逆に削られ、軍事費がうなぎのぼりに上昇していることに対して批判の声が相次いでいる。教育団体「トードス・ペラ・エドゥカソン」のプリシラ・クルス会長は「コロナ禍によって満足に授業が受けられなかったことで、とりわけ初等教育が壊滅状態にある。そんなときこそ、政府は教育に気を使わなくてはならないのに」と強い懸念を語っている。
ウニバンコ研究所のリカルド・エンリケス副会長も「危機に見舞われた分野、不公正が生じているところに対して、政府はもっと対策費用を割くべきだ」との見解を示している。
教育費は医療費と並んで、国民が政府に対して最も充実を望んでいるものだ。2013年に起こった、その後に労働者党政権が崩壊する契機ともなった全国的なマニフェスタソンの際にも、民間の政治団体から一番強く強化を求められていた。
経済省は2021年の予算に関して、「各省庁からの要望を受け付けているところで、それらの要望に関しては審査される」としている。