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《サンパウロ市》セントロ再開発後の運営問題浮上=市は開札日に入札中止

サンパウロ市市役所は26日、セントロ地区にあるヴァレ・ド・アニャンガバウー再開発事業に関わる入札を中止すると発表した。
26日付現地紙サイトによると、入札中止の発表は、再開発後の運営を10年間担当する企業が発表されるはずの26日付官報に掲載された。
アニャンガバウー再開発はカサビ市長時代からの課題で、現在の工事は2019年7月に始まり、1年後に入札実施が発表された。だが、工事は現在も続いている上、新型コロナウイルスの感染拡大で住民との対話も不十分なまま、26日に開札と決まっていた。
入札中止の直接的な理由は、入札の過程で生じた問題を市会計局が指摘したためだ。加えて市検察局も、入札に至るまでの過程が不透明との市民団体からの指摘を問題視していた。
アニャンガバウー地区は市立劇場などの公的施設やショーなどの開催が可能な空間があり、人の動きが大きい上、路上生活者なども行き来する。
関係者が多い割りに、同件に関する公聴会は1回しか行われていない。同地区の運営を担当する企業が収益を上げる方法など、再開発事業や入札に関する情報が地域住民に伝わっていないという。
公園や広場を含む公的空間の開発や運営を担当する企業は、ショーの開催権や映像権、キオスクや花屋の設置などで収益を得る可能性がある。
だが多くの場合は、地域住民などとの対話が不十分なまま、入札や工事が始まり、トラブルが発生する例も多い。市役所側はビデオカンファレンスを開いて住民の声を聞いたというが、同地区の開発事業では昨年も、検察局への問題提起で工事中断という事態が起きている。