新型コロナウイルスの感染拡大により、世界各国で経済活動が落ち込んだが、ブラジルの信用リスク格付機関オースチン・レイチング(以下、OR)によると、ブラジルの第2四半期の国内総生産(GDP)の落ち込みは欧米諸国やラ米諸国より小さくて済みそうだと26日付ブラジル国内サイトが報じた。
ORが比較しているのは、第2四半期のGDP成長率を発表済みの38カ国とブラジルだ。
38カ国の中で前期比のGDP成長率がプラスだったのは中国の11・5%のみ。以下は香港0・1%、台湾1・4%、フィンランド3・2%、韓国3・3%のように全てマイナス成長。
38カ国中、落ち込みが5%未満だったのは5カ国、5~10%だったのは15カ国で、7・8%減の日本は9位、9・5%減の米国は16位、9・7%減のドイツは17位につけている。
ブラジルのGDPは9月1日に発表される予定で正式な比較は出来ないが、ORは一応、10・1%のマイナスと見ている。ブラジルのGDPは第1四半期に1・5%落ち込み、主要国の中では16位につけていたが、第2四半期が10・1%減なら、21位にあたる。市場関係者は第2四半期は8~10%台のマイナス成長と見ている。
21位という順位は決して高くない。だが、予想通りなら、米州大陸では米国に次ぐ2位の好結果。南米ではチリが13・2%(27位)、コロンビアが14・9%(31位)、メキシコが17・1%(34位)、ペルーが27・2%(38位)と、いずれも大きく落ち込んでいるからだ。
欧州でも、フランスやポルトガルが13%台の落ち込みを記録したほか、35位のスペインや37位の英国も、各々、18・5%と20・4%のマイナス成長となっている。
ブラジルの落ち込みが小さくて済んだのは、農産物や鉄鉱石などのコモディティの生産・輸出、政府による低所得者や企業への支援などが奏功したためと見られている。だが第1四半期と第2四半期のGDPが連続して前期比を割り込むため、景気後退(リセッション)入りは免れない。
イタウ銀行は、連邦政府がコロナ対策に費やした経費は既に5100億レアルに達し、GDPの7・9%に及ぶと見ている。コロナ対策費がGDPに占める比率は他の諸国より大きいが、一部の専門家は、ブラジル政府の対応は始動が遅かった上、感染拡大が収束する前に経済を再開しようとした事が、11万人を超える死者を出す事に繋がったと指摘している。
ブラジルのGDPの回復は穏やかで、今後の支援のあり方や雇用の回復度合いなどにより、第4四半期は再びマイナス成長となる可能性もあるようだ。市場関係者は、GDPがパンデミック前のレベルに回復するのは2022年と見ている。