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≪リオ州知事≫汚職疑惑で停職処分に=コロナ対策費用を着服?=「大統領の陰謀」と反論

ヴィッツェル知事(左)とエヴェラウド牧師(右)(Twitter)

 28日、リオ州のウイルソン・ヴィッツェル知事(キリスト教社会党・PSC)が、同州保健局絡みの汚職疑惑に問われ、高等裁判所から180日間の停職処分を言い渡された。同件に関与した容疑で、PSC党首のエヴェラウド牧師が逮捕されるなど、政界に激震が走っている。28日付現地サイトが報じている。
 ヴィッツェル知事への停職は、同州保健局を巡る不正を摘発する「トリス・イン・イデム作戦」の一環として行われた。新型コロナウイルスの感染爆発の最中におきたリオ保健局の医療器具購入にまつわる不正取引疑惑は、かねてから捜査が行われていた。28日の捜査は、逮捕令状17件、家宅捜索令状72件が出される大掛かりなものとなった。
 逮捕者には、この疑惑の中心人物と目される元保健局長のルーカス・トリスタン容疑者をはじめ、企業関係者、エヴェラウド氏らが含まれていた。
 エヴェラウド氏は知事が所属するPSC党首で、14年の大統領選にも出馬している。ボルソナロ大統領も2016年~18年に同党に籍を置いていた。16年に当時下議だったボルソナロ氏がヨルダン川で洗礼を受けた際、立ち会ったのもエヴェラウド氏だった。
 同党首は逮捕される際、「金なら家にはない」と声を荒げて連警に反抗していた。また、エヴェラウド氏の2人の息子も今回の捜査で逮捕されている。
 今回の捜査では知事にも逮捕令状請求が行われていたが、高等裁はその発行を拒んだ。同知事はエレナ夫人やトリスタン被告ら8人と共に、収賄その他の組織的な犯罪行為に加担しているとしてリオ州検察局から告発されている。犯罪行為の継続を避けるためという理由で、現職知事でありながら、逮捕令状が請求されていた。

 だが、高等裁のべネジト・ゴンサウヴェス判事は、検察の要請の一部を受け入れ、知事に対して180日間の停職処分を宣告した。同判事は宣告文の中で「コロナウイルスの感染が爆発していた最中にコロナ対策費用を不正な手段で着服し、何千、何万もの州民の健康や命を犠牲にするような集団的犯罪行為を行った」という厳しい表現を用いた。
 同知事は昨年来、エレナ夫人名義の架空の弁護士事務所を通じて横流しされた金の中から、7400万レアルを受け取っていたとされている。
 同知事は停職中、州政府関連の施設への出入りや州政府の人物との接触も禁じられている。その間、代行を務めるのはクラウジオ・カストロ副知事だが、同氏も今回の捜査対象だ。さらに、正副知事が職務を執行できない場合に知事職を代行するはずのリオ州議会議長のアンドレ・セシリア―ノ氏も捜査対象になっている。
 ヴィッツェル氏は、人工呼吸器などの不正購入疑惑の捜査がはじまった5月以降、疑惑への関与が強く疑われており、リオ州議会では知事罷免審議も進められていた。
 知事本人は今回の処分に憤り、「自分や他州の知事たちは迫害にあっている」と反論し、大統領とコロナ対策で対立した知事たちが陰謀にはめられているという、かねてからの持論を繰り返した。さらに、報奨付証言(司法取引)を行ったエジマル・サントス元保健局長を「でたらめな証言をしている」と罵った。