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《ブラジル》2Qは史上最悪のGDP9・7%減=コロナでサービス、工業は壊滅=正式なリセッションに突入

ゲデス経済相(Alan Santos/PR)

 ブラジル地理統計院(IBGE)が1日、20年第2四半期の国内総生産(GDP)は前期比で9・7%減だったと発表した。減少幅は史上最大で、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした経済的な打撃の大きさを物語った。2期連続のマイナス成長を記録、正式なリセッションに突入した。1日付現地紙サイトが報じている。
 今回の9・7%減という数字は、IBGEが四半期毎のGDPを発表しはじめて以来、最悪の数字。これまでのワースト記録は、リーマン・ショックの2008年第4四半期に記録した3・8%減だ。
 2020年の場合、第1四半期も2・5%減と大きなマイナス成長だった。第1四半期のGDPは、1・5%のマイナス成長と発表されていたが、見直しが行われ、2・5%のマイナスとなった。昨年同期と比べた場合の第2四半期のGDPは11・4%減で、今年上半期の累積は昨年上半期比で5・9%のマイナス成長となる。
 第2四半期のGDPは、これまでで最大だった2014年第1四半期と比較して15・1%減となった。今年の第1半期の時点のGDPは2012年当時のレベルにまで落ちていたが、今回の減少で2009年終了時点まで下がった。
 部門別に見ると、サービス部門と工業部門の二つが、過去最悪の数字を記録した。前者では9・7%減、後者は12・5%減だった。この2部門はGDPの95%を占める重要なものだ。
 サービスに目を向けると、家族介護などの「その他」と分類される部門が、最大となる19・8%の減少を記録。そのほかの部門では、運輸・保管・郵便の19・3%減や、商業の13・0%減などが目立った。サービスで前期比増を記録したのは、金融・保険関係の0・8%増と不動産の0・5%増のみだった。

 工業部門では、製造業が17・5%の大幅減となったほか、建設業が5・7%減、鉱業が1・1%減を記録した。
 家庭支出は、連邦政府からの月額600レアルの緊急援助金が支払われてもなお、12・5%下がった。過去の不況時のGDPを下支えしてきた家庭支出が、今回は大幅減を記録したことが大きな痛手となった。
 政府支出も8・8%減、投資も15・4%減った。これによって、投資がGDP全体に占める割合は15%に落ちた。2019年第2四半期の投資は、GDP全体の15・3%を占めていたから、今政権での投資はさらに縮小したことになる。2013年は投資がGDP全体の21%以上を占めていた。
 貿易関係は、輸出こそ1・8%増を記録したが、輸入は13・2%減と大幅に下がった。
 第2四半期にGDPが成長した唯一の部門は農業だが、それでも0・4%の上昇に過ぎなかった。
 市場関係者や連邦政府は、第2四半期のGDPは8~10%減と予想していた。下限近くではあったものの、一応、想定範囲内での下げ幅となった。
 連邦政府は今回のGDPに関し、「他の国に比べれば下がっていない方だ。たとえば今期を前年同期比で見た場合、ブラジルは11・4%減だが、G7諸国の平均は11・9%減、チリ、メキシコ、インドはそれぞれ、13・7%減、19%減、23・9%減だ」とし、「決して最悪ではない」と主張した。第2四半期のGDPを公式に発表した48カ国の中で前期比でのGDPが成長したのは中国とインドだけで、ブラジルの9・7%減は、22位に位置している。