ブラジルでは新型コロナの1日あたりの平均死者数減少や、英国ロンドンのインペリアル・カレッジが算出した実効再生産数(Rt)が再び1を割ったといった報道が出始めた。ただし感染拡大は続き、感染者数・死者数共に世界第2位という高止まり状態が続いている。
保健省発表の感染者と死者数(1日夜現在)は各々、前日比4万2659人増の395万931人と同1215人増の12万2596人だ。
感染学上の週(日曜日~土曜日)単位の死者数は、31週(7月26日~8月1日)から33週(8月8~15日)が3週連続で前週比減少を記録した後、34週(8月16~22日)は前週比3・9%増となった。だが、8月23~29日は再び、前週比11・5%減少した。
水曜日~火曜日の7日間の1日あたりの平均死者数は、7月28日~8月4日の1040人以降、8月5~11日1030人、8月12~18日980人、8月19~25日956人、8月26日~9月1日858人と、4週連続で減少している。
他方、1日付G1サイトによると、8月30日現在のブラジルのRt(既に感染が広がっている状況下で1人の感染者が平均何人にうつすかを示す指標)は0・94だった。
ブラジルのRtは4月12日の1・57に始まり、4月26日には2・81に達した。外出自粛が再び緩み始めた直後の5月3日は1・49に下がっていたが、緩和後に感染が再拡大した5月10日は2に上昇。
以後、低下が続き、6月以降は1・1未満となった。8月16日は0・98となり、初めて1を割ったが、8月23日には1に戻っていた。8月30日の0・94は過去最小だ。
ただ、0・94では感染拡大は高止まりで、8月30日には直前7日間での1日平均の感染者数が3万6647人まで落ちていたが、翌日は4万773人、1日も4万134人と4万人以上に戻っており、急速な感染収束はありえない。
感染拡大が続いている事から、予防接種ワクチンや治療薬の治療検査(治験)はブラジルでという動きを招いている。1日に第2四半期の国内総生産(GDP)が史上最大の9・7%減と報じられた際は、コロナの感染が抑制出来ていない事や国の財政状態悪化が景気回復の足かせとなる事を懸念する声も出ていた。
世界保健機関(WHO)は「コロナの感染拡大抑制には国を挙げた取り組みが必要」としている。だがブラジルでは、大統領が8月31日に「誰も予防接種を強要出来ない」と、コロナ禍抑制のために必要と判断した場合は集団予防接種を認めるとする法令を裁可したのに反する発言を行い、物議を醸した。高血圧や糖尿病の薬などを無料か9割引きで購入出来る大衆薬局(フェルマシア・ポプラル)に、有効性が疑問視されているクロロキナを置く話も出ている。
アマゾナス州では対面授業再開後、コロナに感染した教師が300人以上出ている。商業再開後も、感染を怖がって顧客が来ず、売上は伸び悩むといった話もある。
対面授業再開や経済活動本格化のためにも、感染抑制努力は不可欠だ。