ブラジルの航空機会社エンブラエルが3日、従業員900人を解雇すると発表した。同社は2日を期限に希望退職者を募っていたが、予定通りの人数に達せず解雇が発表されたと3日付現地紙サイトが報じた。
同社の従業員は約1万6千人。本社のあるサンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポス市だけで約1万人いる。今回の解雇がどの地区のどの部署で何人ずつかは発表されていない。
今回の解雇は、新型コロナウイルスの世界的な流行と、米国ボーイング社との合意破棄で生じた損失との二つが原因だ。
上半期の損失は29億9500万レアルで、昨年同期の1億3400万レアルを大幅に上回る。ボーイング社との合意破棄は、パンデミックで生じた航空業界の危機や世界経済の悪化の最中の4月末に正式発表された。1月の時点で部門分割などの準備で生じる損失は9680万レアルと推定されていた。
今回の希望退職者募集は3回目。恩典を倍にしたりした結果、応募者は1600人に達した。だがこの数では予定通りの規模の経費削減は不可能として、900人の解雇が発表された。
同社では、パンデミック宣言直後から、集団休暇や時短、レイオフ、有給休暇の取得奨励などの諸対策を採ってきた。だがこれ以上続けば健全な経営継続は不可能と判断した結果、退職者募集や解雇に踏み切った。
解雇発表はサンジョゼ・ドス・カンポス金属労組関係者を驚かせた。労組側は同日朝、交渉の席に着く予定だったが、会社側がこれをキャンセルし、解雇を発表すると伝えてきた。労組側は即座に、同市での解雇予定者数を尋ねたが、会社側は「知らない」として、回答を避けたという。