俳誌『朝陰』490号が8月に刊行された。《道問へばマスクを外して答へくれ》(笹谷蘭峯)は、今どきの街中の風情をこっけいに歌ったもの。《家族のみマスクをかけてサンジョン祭》(有田キヨメ)からは、日系人のみが感染に気を使うカンポモウロンの様子が伝わる。《冬晴や孫に合わせてマスク縫ふ》(那須千草)もぬくもりが伝わる作品。《くしゃみする夫に促すカーディガン》(山下志げ子)。《マスク掛け美人に見える人も居て》(伊藤みち子)、《ワクチンの開発祈り春を待つ》(富岡絹子)など、今号は時節柄パンデミックを詠ったものが多い。