ホーム | ブラジル国内ニュース | 《リオ》今度は州現職局長・元局長を逮捕=あのジェフェルソン氏娘も=3千万レアル横領?

《リオ》今度は州現職局長・元局長を逮捕=あのジェフェルソン氏娘も=3千万レアル横領?

2016年のクリスチアーネ氏(右から2番め)(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)

 11日、リオ州市警とリオ州検察局が社会福祉関連の不正疑惑の捜査を行い、リオ州教育局長のペドロ・フェルナンデス氏を逮捕した。クリスティアーネ・ブラジル元下議(ブラジル労働党・PBT)にも逮捕状が出され、本人が午後、警察署に出頭した。彼女は2カ月後のリオ市長選に立候補している。ここの所、続々と市長候補者に捜査の手が伸び、リオ政界に激震が走っている。11日付現地紙サイトが報じている。
 今回の捜査は、19年6月に行われた「カタラタ作戦」の第2弾だ。第1弾では、リオ州のレオン8世財団を舞台に2013年から18年に起こった汚職疑惑の容疑が問われ、7人の企業家が逮捕されていた。
 リオ州検察局によると、2013年から18年にかけて横領された公金は3千万レアル(約6億円)に及び、州民や州財政に多大な損害を与えていたという。
 同財団は、低所得者層に対する医療テストや手術などを提供しやすくすることを目的として創設された、州社会技術開発局傘下の州立組織だ。
 ペドロ容疑者はウイルソン・ヴィッツェル・リオ州知事(停職中)に請われ、19年1月から教育局長を務めているが、セルジオ・カブラルならびにフェルナンド・ペゾン両知事の時代は社会技術開発局長だった。
 今回の捜査では同局長時代の疑惑を問われた形だ。検察は、同容疑者は同財団が結んだ契約の20%に相当する金額を賄賂として受け取っていたと見ている。
 ペドロ容疑者は、新型コロナで陽性反応が出ているため、警察署には連行されず、自宅軟禁の形で一時逮捕された。ペドロ氏の弁護士によると、同容疑者はこの逮捕の処分に強い憤りを示しているという。

 レオン8世財団の汚職には、リオ市の高齢者健康局と障害者保護局も絡んでいたとされている。エドゥアルド・パエス、マルセロ・クリヴェラ両市長の市政でそれらの局長を務めたのは、クリスチアーネ元下議だった。これらの局は13年から18年に総額1億2千万レアルに上る契約を結んでおり、契約金の5~25%を賄賂として支払わせていた容疑がかけられている。
 クリスチアーネ氏はこの日の午後、警察署に出頭し、「政治的迫害だ」と批判している。
 クリスチアーネ氏は、PTB党首のロベルト・ジェフェルソン氏の娘。ジェフェルソン氏は2005年に、下院での支持取り付けのために連邦政府が毎月、賄賂を払っていたことを暴露。この件は「メンサロン事件」として知られ、当時の政界を震撼させた。その裁判では収賄容疑で実刑判決を受け、既に出所。現在はボルソナロ政権への支持を打ち出している。支持表明後、マシンガンを手にして「最高裁判事を逮捕しろ」などの過激な声明を出して、問題視されていた。
 クリスチアーネ氏は、18年に当時のテメル大統領から労働相の指名を受け、受諾の意向だったが、元職員から労働法に抵触する不当な労働を強制されたと訴えられたことから、就任が立ち消えとなった経緯がある。
 今回の捜査では、クリスチアーネ氏を入れて5人が逮捕された。同件で検察が起訴した25人は全員、11日の時点で被告扱いとなっている。