10日、最高裁の新長官にルイス・フクス氏が就任した。11日付現地紙が報じている。同長官は2年の持ち回り制で、長官未経験者の中で最高裁在籍期間が最も長い人が就任する。
1953年にリオで生まれたフクス氏は、グアナバラ(現在のリオ)州立大学で法学を学び、1983年にリオ州地裁で判事としてのキャリアをスタート。2001年に連邦高等裁判所(STJ)の判事になった後、2011年3月に、当時のジウマ大統領から指名されて最高裁判事になった。2018年2月から8月には、選挙高裁の長官も務めている。
審判の傾向としては警察・検察寄りといわれ、2012年のメンサロン裁判やルーラ元大統領に関する裁判(最高裁)、14年大統領選でのジウマ/テメルのシャッパに関する裁判(選挙高裁)では被告に有罪票を投じている。
そうしたことから「最高裁きってのラヴァジャチスタ」と呼ばれるほどのラヴァ・ジャット作戦支持者と言われる。実際、19年のヴァザ・ジャット報道では、同作戦主任だったデルタン・ダラグノル検察官が、パラナ州連邦地裁判事だったセルジオ・モロ氏と「フクス氏の協力を取り付けた」「フクス氏さまさまだ」という会話を行っていたことが漏洩し、話題になった。
一方、中絶や同性婚には賛成のリベラルな立場をとっており、反対派のボルソナロ大統領とは見解を異にする。新型コロナウイルスの感染爆発時には、「軍が三権を見張る立場」とした連邦政府を厳しく批判し、話題となった。
就任式は10日午後4時に行われ、ボルソナロ大統領も同席した。ただし、この就任式の演説で話題になったのは、フクス長官ではなく、スピーチの場でボルソナロ大統領に対し「ブラジル国民全体の大統領であることを忘れてくれるな」と厳しい注文をつけたマルコ・アウレリオ判事の方だった。
フクス判事の任期は2年。副長官はローザ・ウェベル判事だ。