コロナ禍で国内の移動さえも様々な制限がある中、ブラジル北東部のセアラー州に住んでいる男性が、2600キロ離れた南東部ミナス・ジェライス州に引っ越す。
セアラ州都フォルタレーザ市を離れるのは、写真家のトマス・マラニョンさんだ。トマスさんは今年6月、生後間もなく生き別れとなり、消息さえつかめなかった双子の兄弟のガブリエル・フェレイラさんがミナス州ウベラバ市にいる事を突き止めたからだ。
トマスさん達は1997年6月25日に生まれたが、フォルタレーザ市の郊外に住んでいた両親は貧しく、二人を育てる術がないため、養子に出す事に決めた。生後15日で、フェルタレーザ市とウベラバ市の家族に引き取られた二人は、互いを知る事もなく暮らしていた。
だが、トマスさんが16歳になった時、養母が実母を紹介してくれた。「こんなにそっくりな人を見た事がなかった」と驚いたトマスさんは、ガブリエルさんの1歳の誕生日の写真をもらい、兄弟の名前を知らされた。
以来何年も、トマスさんはソーシャルネットワークサービスを使って兄弟を探し続けたが、ガブリエルさんを見出す事が出来なかった。
だが、今年6月1日、写真の裏にガブリエルさんの養母の名前が書かれている事に気づき、フェイスブック(FB)で探したところ、30分足らずで養母のアカウントが見つかった。
養母のアカウントでガブリエルさんの写真も見たトマスさんは、余りにも似ている事に驚き、心臓が飛び出すかと思うほどの衝撃を受けた。
話を聞いて仲介を買って出た警察官から連絡を受けたガブリエルさんの養母は、トマスさんが見つかったと息子に連絡。ガブリエルさんは立っていられない程の衝撃を受けたが、FBでトマスさんと連絡をとり、ワッツアップにも登録した。
再会はガブリエルさんの休憩時間にかけたビデオ電話で始まり、以後、二人の間は急速に接近。あまりにも似ていると互いが驚き、一時は麻酔にかかったような状態にさえなったというガブリエルさんは、その直後、胸の中に広がる大きな平安を実感。
電話をかける頻度は急激に増し、互いを隔ててきた時間を取り戻そうとするかのように、ほぼ毎日、明け方まで語り明かした二人は、実母ともビデオで再会した。
トマスさんはその後、ミナス州に赴き、ウベルランジアの空港でガブリエルさんと再会。同僚からの連絡で、仕事のつもりで空港に向かったガブリエルさんは、兄弟の姿に心臓が止まるほど驚いた。だが我に返るとすぐ、幼い時から夢見ていた熱い抱擁をした。翌日はガブリエルさんの養母の計らいで23歳の誕生日を共に祝った二人は、21日を共にし、一緒に住む事を決めた。
トマスさんの引越は14日の予定で、ガブリエルさんと妻のカロル・ポラトさんも、トマスさんの到着後、3人で友人達の輪の中に入って行く事などを心待ちしている。
トマスさんは当面、写真家として働く。だが3人は、カロルさんが大学を卒業後、パラナ州クリチバ市に引っ越す事を夢見ている。(10日付、6月24日付、6月28日付G1サイトより)