16日午前、パラナ州検察局が、下院の連邦政府リーダー、リカルド・バロス下議(進歩党・PP)に対する捜査を行った。バロス氏はボルソナロ大統領が中道勢力「セントロン」と接近したことで、政府リーダーに選ばれた人物だ。15日付現地紙サイトが報じている。
今回の捜査はパラナ州検察局の犯罪組織対策グループ(GAECO)が主導して行ったもの。バロス氏の事務所があるパラナ州マリンガをはじめ、同州のクリチーバ、パイサンドゥの2市、サンパウロ市で家宅捜索が行われた。家宅捜索令状は8件に及んでいる。
この捜査は風力発電の契約に伴う不正に関するもので、2019年にラヴァ・ジャット作戦との関連で行われた報奨付証言(司法取引証言)のいずれかが発端となって疑惑が浮上したという。今回の捜査では四つの企業も捜査対象となっているが、企業名や所在地は明かされていない。
捜査の直接の対象となったのは、2011年から14年にかけて行われたと見られている贈収賄と資金洗浄だ。この件では、サンパウロ市に拠点を持ち、不正に関与したと見られるデウモ・セルジオ・ヴィリェーナなる人物と、バロス氏が捜査対象となっている。
ヴィリェーナ氏の自宅からはすでに、同氏の名前が記されたマリンガのホテルの領収書復数枚と、不正が行われたと見られる時期のことが書かれた復数のノートが発見され、押収されている。警察官は、その他の書類とコンピューター、携帯電話も押収した。
バロス氏はマリンガの出身で、1989~1992年にはマリンガ市長をつとめた。1994年の選挙で下院議員に当選し、以後、4度当選。2011年からは当時のベット・リシャ・パラナ州知事に請われて、同州のメルコスル商工局の局長を4年間つとめており、15年に下議に復帰。その任期中の16年5月から18年4月までは、テメル政権で保健相の重責を担った。
今回の疑惑は、バロス氏がパラナ州メルコスル商工局長の時代に起きたものということになる。
今回は直接の捜査対象になってはいないが、バロス氏の妻のシーダ・ボルゲッティ氏とヴィリェーナ氏との間にどんな関係があるかも調査が進められている。シーダ氏は15年1月からリシャ知事の副知事となり、リシャ氏が辞任した18年4月からの8カ月間は、知事もつとめている。
連邦議会の調整(アルチクラソン)で難のあったボルソナロ大統領は、そのテコ入れとして議会で大きな勢力となっているセントロンと手を結んだ。バロス氏はそのセントロン系の連邦政府リーダーとして選ばれた。ボルソナロ氏自身も、同氏所属のPPには11年間在籍していた。
バロス氏は今回の捜査を「政治的なもの」と批判し、平静を装った。だがPPはかねてから汚職体質が囁かれていた政党で、ラヴァ・ジャット作戦において最多の捜査対象者を出している。ボルソナロ大統領がセントロン系政党に接近した際、最も恐れられていたのも汚職発覚だった。